【２５７】side無し ページ25
そう眉を寄せながらやるせなさそうに笑みを零した彼女は泣いていた。自分は異端で異質で異物であると。この世界の人間では無いのだと。自分は違う世界から来た人間で、この世界の誰とも同じにはなれないのだと。
彼女の話に耳を傾けながら一部の生徒達は先日港の倉庫で陽炎と敵(ヴィラン)と自分達の三つ巴の最中、轟がキオに向けて吐き出していた言葉を脳裏に過ぎらせる。
『……お前には死んでも分からねぇだろうよ。目に映る世界がどんなに薄汚ぇもんでも、それすら綺麗だってクソみてぇな現実を受け止めて前に進もうと足掻く彼奴の努力も、たった一人で訳分かんねぇ場所に放り込まれた彼奴の孤独も、何一つ……分かって堪るか』
轟は分かっていたのだ。理解していたのだ。共感出来ずとも彼女の心に全てを知りながら寄り添って居たのだと、生徒達は轟の彼女へと向かう想いの強さを改めて思い知る。それと同時に知る彼女の孤独の意味、そして自分達と彼女との間にある溝が何であったのかを理解した。
「……お父さんが言ってた訳ありの転校生って言うのは、そういう事で……私がこの世界について分からない事だらけで、私の知る常識が通用しない事を心配してくれたお父さんがヒーロー科に置いてくれたの」
信じる信じないの話では無く、彼女は現にこうして相澤に引き取られ、雄英のヒーロー科に在籍して自分達と日々過ごしている。彼女のこれまでの知識の欠落についても説明が付く。彼女の人柄を思えば、それが嘘やでまかせで無い事は明白で、生徒達は疑うまでも無くそうであるのだと、彼女の話を受け入れる。
「私の話はこのくらいだと、思う……」
そう締め括った彼女に八百万と葉隠が彼女を抱き締めたのはほぼ同時だった。二人に挟まれる様に抱き締められる彼女は自分とこの場の者達を隔てる溝は自分自身が勝手に作り出していたのだと、二人の温もりに涙する。
「違う世界から来たとか、異端とか異質とか……！そんなの無いよ！AちゃんはAちゃんだよ！」
「話して下さって有難う御座います。ですが、葉隠さんの言う通り、例え生まれ育った世界が違っていても、私達とAさんに違いなどありませんわ！」
私達、こうして傍に居る事が出来ているではありませんか。と、言葉を続けた八百万に彼女は押し寄せる感情に胸が一杯になるあまり、言葉を紡ぎ出す事が出来ず、その代わりに何度も首を縦に振りながら二人の背に腕を回したのだった。
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パル(プロフ) - ぽむさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!そう言って頂けると完結まで書き切って良かったと物凄くホッとしました。イケメンにはイケメンな事をさせたいという願望の塊で、楽しんで頂けて良かったです！最後まで読んで下さり有難う御座いました！ (2022年8月10日 10時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - え、めっちゃよかったです！！！無理やりな完結とか思えなかった！！！！めっちゃ好きな作品です！！！しょうとくんの行動にめっちゃ一緒にドキドキさせられました！！！！最高 (2022年8月10日 2時) (レス) @page38 id: 10c6d472ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年6月7日 0時
