【２５５】side無し ページ23
以前から彼女の素性について、轟以外の生徒達は疑問を抱いていた。相澤が彼女を雄英に連れて来た際、何故普通科では無く、ヒーロー科に在籍させたのか。単に養子に迎えた子供を心配しての判断であれば、何もヒーロー科で無くとも全寮制である為、普通科でも良かった筈だ。
加えて、相澤が身寄りが無いというだけで子供を引き取るとは考え難い。訳ありとは聞いているが、その訳とは一体何なのか。彼女はどういう経緯で雄英に来たのか。又、事故を経て教室に降って来た事も轟以外の生徒達には何一つとして情報が無かったのである。
「……Aさん。もう一つ、この際なのでお聞きしたい事がありますの」
そう先程とは打って変わって神妙な面持ちで切り出した八百万に彼女は小首を傾げながらも「どうしたの……？」と、問い掛ける。
「以前から私達はAさんの事情について出来るだけ踏み込まない様にして来たつもりですわ。AさんがA組に来た際、相澤先生が仰られていた訳ありという言葉。話せる範囲で構いません、お聞かせ願いたいのです」
僅かに動揺を露わにする彼女は自然と轟へと視線を向ける。その視線を受け止め「お前が決めて良い」と、決定権はお前にあるのだと、そう告げる轟は生徒達の輪から一歩引く様に後ろへ下がった。
自分はこの世界の誰とも同じにはなれない。上手く擬態出来たとしても根本から違うのだと、彼女は押し寄せる孤独を誰とも分かち合う事も出来ず一人で身の内に抱え、表には出さない様に努めてきた。唯一、轟の前でだけ全てを吐き出せるのだと、それを支えに足掻く事を止めなかったと言っても過言では無い程に、彼女の中でこの世界と元の世界の違いとは大きなものだったのだ。
話したとしても受け入れてもらえるだろうか。それでも娘だと言ってくれた相澤の様に、それでも好きだと想いを告げてくれた轟の様に、此処に居る皆は自分を変わらず肯定してくれるだろうか。と、彼女は不安を抱き、目の前の八百万や他の生徒達と自分との間に大きな溝がある様に錯覚する。
一歩踏み出せば奈落へ落ちる様に果ての無い孤独しか無い溝の底。自分はこの世界の人間では無い。たったそれだけの違いだと、そう軽く飲み下す事など彼女には出来無かった。
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パル(プロフ) - ぽむさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!そう言って頂けると完結まで書き切って良かったと物凄くホッとしました。イケメンにはイケメンな事をさせたいという願望の塊で、楽しんで頂けて良かったです！最後まで読んで下さり有難う御座いました！ (2022年8月10日 10時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - え、めっちゃよかったです！！！無理やりな完結とか思えなかった！！！！めっちゃ好きな作品です！！！しょうとくんの行動にめっちゃ一緒にドキドキさせられました！！！！最高 (2022年8月10日 2時) (レス) @page38 id: 10c6d472ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年6月7日 0時
