【２４５】 ページ13
皆の視線が刺さっているのが何と無く分かる。特に隣に居る焦凍君の視線がかなり痛い。見なくても分かる程に、皆が私の動画の件を知りたがっているのだと、視線だけで尋問されている様な気持ちになってくるから不思議だ。
「あ、あー……ごめんね？そ、それじゃあ俺達は行くから！またね！」
そう言ってそそくさと逃げる様にキオさんと共に旅館から去って行くカイ君を見送り、軽く溜め息を吐き出しながら皆へと視線を向けると、芦戸さんがそれはそれは不自然に綺麗な笑みを浮かべながら携帯を構えていたのだ。
「あ、あの……夜でも、良い……？ほら、皆だって観光したいと思うし、私も……心の準備と言うか、色々覚悟的なのを決めたいから」
いつかは話そうとは思っていた。私の考えを配信する前に今の現状を皆には伝えておきたいとは思っていて、私の考えは所詮は綺麗事なのかも知れないけれど、S･Aの名が思った以上に知れ渡ってしまっている以上、今の社会を全否定する様な私の考えは多くの反感を買うだろう。
動画で歌声では無い私の声を聞けば、皆は勿論、お父さんも直ぐにS･Aが私だと気付く。お父さんが私の動画を見るかどうかは分からないけれど、ヒーローに関する事でもある為、絶対に見ないとは言い切れない。
今更やめろと言われてやめるつもりなんて微塵も無いけれど、私の言葉で社会がどんな風に動くのか、全く想像が付かない以上、皆には先に話しておいた方が良いと思ったのだ。
皆は今直ぐにでも知りたそうだったけれど、私の意を汲んでくれた様で「分かった！楽しみにしてるね！」と、中々にプレッシャーを与えて来る。
「期待に添える様に頑張るよ」
そう観念する様に肩の力を抜いて笑うと、芦戸さんは何故か「ほら！轟！」と、焦凍君の背中を軽くﾄﾝｯと押した。
「折角の遠出だし、今はヒーローもいっぱい来てるし！何の心配も無くAとデートして来なよ！」
「あ、芦戸さんん！？」
にやにやし出す皆を余所に焦凍君は手を差し出して来る。それは、初めて焦凍君と出掛けたあの日を思い出すには充分過ぎるもので、あの時から皆は焦凍君の気持ちを知っていて、あの時にはもう、焦凍君は私にそういう意味合いの好意を持ってくれていたのだろう。
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パル(プロフ) - ぽむさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!そう言って頂けると完結まで書き切って良かったと物凄くホッとしました。イケメンにはイケメンな事をさせたいという願望の塊で、楽しんで頂けて良かったです！最後まで読んで下さり有難う御座いました！ (2022年8月10日 10時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - え、めっちゃよかったです！！！無理やりな完結とか思えなかった！！！！めっちゃ好きな作品です！！！しょうとくんの行動にめっちゃ一緒にドキドキさせられました！！！！最高 (2022年8月10日 2時) (レス) @page38 id: 10c6d472ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年6月7日 0時
