【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ9)

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【１９５】side無しページ9

根深いどころでは無く、自分達の手に余る。そう判断した面々は相澤へと報告する為に旅館へと戻ると、フロントにはあどけない顔を惜しげも無く晒しながら眠る彼女がソファーに座っていて、オールマイトと相澤は「今さっきまでお前達の帰りを待っていたんだがな……」と、言う。

「Aちゃん、ただいま……」

そう静かに声を掛けた葉隠に彼女は僅かに目を開けると「ん、透ちゃん……？」と、寝ぼけ眼を擦りながら辺りを見渡し始める。

「透ちゃん、何処……？」
「此処だよ」

コスチューム姿の為、殆ど葉隠の姿を視認する事が出来無かった彼女の手に触れた葉隠は「先に寝てても良かったんだよー？」と、声を掛ける。

「ううん、私が待っていたかったの。お帰りなさい」

まだ眠気が残っている様で、ふにゃりとそう気の抜けた笑みを浮かべる彼女。自然とその笑みに肩から力が抜けていくのを感じた葉隠は「うん、ただいま」と、彼女の手を引いて立ち上がらせた。

「Aちゃん、もう寝よう？私達も先生と話したら直ぐ行くから、先に行ってて！」
「ん……分かった。絶対、来てね……？」
「うん！」

彼女を先に部屋に戻らせた葉隠は、いつか知る事になると分かっていながらも彼女にこの街のヒーローの現状を聞かせたくないと、そう思ったのだ。

名も知らぬヒーローが市民に罵られる光景に涙し、守られるだけでは無く、自分達もヒーローを支えなくてはならないと、そう社会に発信すると話していた彼女の前で、不祥事どころの話では無いこの街のヒーローの在り方を聞かせるにはあまりにも辛いものがあったのだ。

その意を察した八百万や他の面々も彼女の気配が完全に遠ざかったのを確認してから、相澤とオールマイトにこの街の現状をありのまま伝えたのである。