【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ42)

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【２２８】ページ42

身体に太陽の熱が急激に供給されるのを眠気で感じ取り、思い切り個性で翼を構築する。そのあまりの大きさに部屋に入って来たばかりのキオさんが発動時の熱噴射により吹き飛ばされてしまい、焦凍君は「なぁ、やっぱ過激になったんじゃねぇか？」と、ｸｽｸｽと笑い出すので「お、落とすよ……！？」と、言いながら飛び立つ。

「おい……っ！！カイは良いのかよ！！」

そう叫ぶキオさんの声に胸が痛む。カイ君の事が気にならなかった訳では無い。私がカイ君を望めば、カイ君は計画を止めてくれるのかも知れない。それでも、私はやっぱりカイ君を望む事は出来無いのだ。

それはカイ君が人を殺めてしまう事を良しとした訳では無く、他力本願だと言われても仕方が無いけれど、焦凍君や皆、それにお父さんならカイ君を止めてくれると、そうあまりにも身勝手な願いを抱いてしまったからだ。

一先ず、灯台を目指しながら空を飛んでいると、焦凍君は器用に何処かへと電話を掛け始めていて、その第一声が「今Aと灯台に向かってます」と、敬語を使っていたので、自然とお父さんかオールマイトのどちらかなのだろうと、再びその遠ざけられていた存在を近くに感じ、安堵する。

灯台でお父さん達と合流する事になり、電話を切った焦凍君に「あの……こんな事言ったら困らせるかも知れないけど」と、ワンクッション挟んでからカイ君の事を話した。

カイ君の個性の事、その個性でこの街の中毒者を全て喰らおうとしている事、その果てに歳相応の姿を手に入れようとしている事、そして……その引き金を引いてしまったのが私である事を包み隠す事無く吐き出した。

「私のせいだって分かってる。でも、これ以上あの子に人を殺めてほしくない。方法は間違ってたのかも知れないけど、カイ君に敵(ヴィラン)になってほしくない……」

この街に巣食う問題の殆どをお父さん達が取り除いてくれた。それでも尚、カイ君が計画を実行するのなら、それは私利私欲の為に他者に害を成す敵(ヴィラン)と何も変わらない。誰かの為の理由を見失ったそれは、単なる虐殺になってしまう。

「ああ、お前は何も心配しなくて良い。どっちにしろ、お前を攫った落とし前はきっちり付けさせてもらうつもりだったからな」
「そ、その……あまり乱暴はしないでね……？」

子供の様にそっぽを向く焦凍君に何度もしつこく確認しながら灯台まで飛行し、私はそこでお父さんと再会を果したのだった。