【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ38)

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―――私の個性にスプリンクラーが反応し、火災報知器が鳴り響くのと同時に細かい水を室内に降り注ぐ。けれど、そんなものは何の足しにもならないとでも言う様に、私の翼は瞬時にそれを蒸発させていた。

「そこ……退いて下さい」

奪われた物はキャップ以外は取り戻す事が出来た。後はこの部屋から出れば、私の居場所に帰る事が出来る。けれど、そう話は簡単なものでは無く、目の前で腕を大砲に変えたキオさんは私が窓から逃亡しようとしている事を読んでいる様で、行く手を阻む様にバルコニーを背に私へと大砲を向けていた。

「そりゃ無理な相談だな。カイにブチ切れられんのだけは御免なんでな」

私には大砲を避ける身体能力も無ければ、放たれる砲弾をどうにかする術も持たない。翼を大きくして身を守ったとしても、この翼がどの程度の威力まで耐えられるのかなんて分からない。あの大砲から砲弾が発射されるのなら、そこには火薬的な何かが含まれていても何ら可笑しくは無い。

爆豪君の様にニトロの様なものが火薬的なそれになっているのなら、この翼でそれを受けるのはかなり危険だと思う。以前、緑谷君が私の個性は割とかなり強力な分類に入ると、爆豪君のニトロの様な成分を含んだ汗を具体例に挙げて説明してくれた事があったけれど、大爆発を引き起こしても可笑しくは無い代物らしい。

お父さんも個性の扱いには十二分に気を付ける様に特訓中に何度も口を酸っぱくして言っていたくらいだ。私に自覚が無いだけで、この個性は簡単に人を傷付けてしまう。

「……あの計画って、何ですか。カイ君が話してた大掃除って、何をする気なんですか……」
「言葉のままだ。アンタに言ったところで何の障害にもならねぇから教えてやるが……カイの個性はカイの腹減り具合で喰らえる量が変わってくる。そして、喰らったものはカイの養分となり、個性に喰われた成長をそれで補おうとするもんだ」

そんな個性もこの世界には存在するのかと、正直驚かされる。聞けば、カイ君の今の幼い容姿でさえ、陽炎として活動をし始める前までは幼稚園児と大差は無かったのだという。つまり、カイ君は個性で何かを喰らう度に少しずつ歳相応の姿へと成長しているという事で、そのカイ君の養分になったのはきっと……殺害された敵(ヴィラン)なのだろう。