【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ37)

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【２２３】side無しページ37

彼女の指先は震えていた。その表情も酷く苦しげで、それでも何かを決意する様にキツく目を瞑る。

「はぁ……ガキかよ。いや、ガキなんだろうけど、もっと他に何かあんだろ。嫌がらせのつもりか？」

そして、キオがｼｬｯ!!とカーテンを開けた直後、彼女は掴んだ観葉植物をまるでバットでも振るかの様に勢い良くスイングさせ、鉢の部分をキオの顔面に直撃させようとしたのだ。

「のわっ！？」

それを間一髪しゃがんで避けたキオは勢い余って窓を割ってしまった彼女に「おいおい、流石にこれは……」と、苦言を呈しながら今にも泣きそうな顔で自分を睨み付ける彼女の腕を掴み、素早く足を掛けてその場に倒す。

「うっ……」
「なぁ……Aチャンよ。アンタがその気なら俺も多少は加減してやるが相手してやっても良いんだぜ？まぁ、結果は見えてるだろうがな」

そう冷ややかに彼女を見下ろすキオの手に携帯があるのを目にした彼女は、形振り構わずキオの腹部へと体当たりをし、その拍子にキオの手から離れ、床に落ちた携帯へと向かうが……

「いﾞっ……！」
「こらこら、おイタが過ぎるぜ？」

彼女の髪を掴んでそれを阻止したキオ。だが、彼女にとって今が最大のチャンスであり、この機を逃せば次は無いと、髪を引っ張られながらもソファーにあるショルダーバッグの位置を確認する。

「くっ……離れた、方が良いですよ……」
「はあ？」
「じゃないと……火傷、します」

震える声でそう告げた瞬間、彼女は出来るだけキオに怪我を負わせない様に徐々に背に翼を構築し始める。そして、その翼から尋常では無い熱を感じ取ったキオが彼女から飛び引いた時、彼女はその手に携帯を取り、ソファーへと駆け出してショルダーバッグを掴んだのだ。

熱の塊である彼女の翼に酸素が触れ、白い炎を纏わせる。一気に室内の温度を高めるそれを目にしたキオは「マジかよ……」と、口角を吊り上げながらも好戦的な眼差しで応戦する様に腕を大砲へと変形させたのだった。