【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ34)

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【２２０】side無しページ34

ヒーローや警察がこうして検挙される中、何事かと普通なら野次馬が集まっても可笑しくは無いが、それらしい人間は集まらず、それどころか街は人が居ないかの様な不気味な静けさを漂わせていたのだ。

何かが可笑しい。そう取り押さえられた腑甲斐無い大人達……基、中毒者へと成り果てたヒーローや警察の者達へと視線を向ける相澤は、不意に「先生！」と、慌てた様子で駆け寄ってきた尾白、上鳴、切島、口田、砂藤の五人に「どうした？」と、振り向く。

「街の様子が変で……！昨日まで開いてた店とかも全部閉まってるし、街の人達が見当たらないんだ！」
「落ち着け。人っ子一人居ない訳じゃないだろ」
「マジで居ないんすよ！港付近を回ってる飯田達が船を何隻も見たって……遠目ではっきりとは分からなかったらしいっすけど、そこにかなりの人数が乗ってたって！」

何がどうなっていると言うのか。切島の話が事実だとして、この街の住人は何を理由に一斉に船でこの街から去ろうとしているのか。事前に町民へのアナウンスがあった訳でも無く、何かしらのイベントが催される訳でも無い。にも関わらず、この住人の大移動は何だと言うのか。

理由も無く移動するにしても数が多過ぎる。そう相澤が告げた時、生徒達五人の携帯が一斉にﾋﾟﾛﾝｯと音を立てた。

「先生！飯田達が陽炎と交戦中らしい！」
「……成程、住人の移動は陽炎の仕業か。お前達は街に残った住人が居ないか確認しろ。どうにも嫌な予感がする。障子の班に飯田達の援護に入るよう伝えてくれ」
「分かりました！」

駆けて行く生徒達の背中を見詰め、相澤はこの街の人々が陽炎を支持しているという彼女の言葉を思い出していた。最早、この街の人々にとって陽炎はヒーローに成り代わるものとしてその地位を確立させていると言っても過言では無い。陽炎の呼び掛けに街の住人が動いたのだとすれば、間違い無く陽炎は何かを仕出かすつもりであると、相澤は早急に現場に片を付けたのだ。

そして、一斉検挙が粗方成った相澤は直ぐに目標を陽炎へと切り替え様と生徒達から細かに携帯に寄せられる報告に眉を顰め「オールマイト、アナタには港に向かってもらいたい」と、指示を出す。