【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ18)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:17,285 hit

【２０４】side無しページ18

だが、生徒達は少女の口から出た“カイさん”という言葉に引っ掛かりを覚える。生徒達は誰一人としてその少年の姿を見た者は居なかったが、それでも彼女が小学生くらいの年頃の子だと話していた事や、海岸で最後に彼女が目撃された際に一緒に居た子供も少女と同じ年頃だった筈だと、少女がその少年を年上の様に呼んでいる事に疑問を覚えたのだ。

「そのカイさんってのは誰だ？」
「カイさんは陽炎のリーダーだよ。見た目はわたしと変わらないけど、個性の影響で成長が止まってるんだって。でも、確か中身はお兄さん達よりも少し上くらいだったと思うよ？」

彼女が行動を共にしていた少年が陽炎のリーダーだったと、その衝撃的な事実に眉を顰めた轟は「それで、その本部ってのは何処にある？」と、少女に問い掛けるが「本部とか支部とか沢山あって、私が知ってるのは灯台くらいで、でも、そこは支部だったと思う」と、少女は告げる。

本部に支部があるという事は陽炎はそれなりに大規模な組織であるのだと、生徒達は察する中、少女は「あのね……今夜、港で薬の取引があるの」と、告げる。

「私は陽炎じゃないけど、そういう事知れる場所に居るから、その情報を陽炎の人に流すのが仕事なの……」
「って事は、その取引現場に陽炎が襲撃してくる可能性があるんだな？」
「多分……」

彼女がその現場に同行する可能性は低いだろうが、彼女を連れ去った陽炎の構成員と接触は出来る筈だと、生徒達はその取引現場に乗り込む事を決意する。

「お姉さんはヒーローじゃないんだよね……？」
「そうだけど、やっぱりヒーローだと拙いの？」

そう問い掛ける緑谷に少女は頷くと「ヒーローなら、多分殺されちゃうよ。お姉さん……」と、その表情を暗くする。

「陽炎の標的は敵(ヴィラン)じゃないの……？」
「もうヒーローも警察も敵(ヴィラン)も、この街の人間からすると皆同じだよ。だから、駆除されない様に……お兄さん達も気を付けてね」

そう言うと少女はそそくさと旅館から出て行き、彼女に関する情報を得られたと同時に陽炎についても情報を得た生徒達は夜までそう時間は無いと、迅速に作戦を立て、行動へと移すのだった。