【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ2)

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そんな私を見ていたお父さんは「今は僅かでも情報が欲しい。話せるか？」と、気遣ってくれて、こんな事ではダメだと、自分を叱咤しながら顔を上げた。

「この街の人達はヒーローの事を良く思ってなくて、それは今の社会の情勢的にそうなってる訳でも無さそうで……えっと、話してくれた子が言うには、この街のヒーローは仕事をしないらしいの」

カイ君が指す仕事をしないヒーローとは、敵(ヴィラン)
も捕まえられず、人攫いに遭った人達も救出出来ず、この街に蔓延している薬の出処や処理も出来ていないというもので、それを言葉を選びながら話すとお父さんは頭が痛いと言わんばかりに溜め息を付く。

「だ、だから……この街の人達はコスチュームを着てる皆を避けてたと言うか、関わらない様にしてたんだと思う。この街の人達はヒーローよりも陽炎を支持してるって話してたから……」

駆除と称して敵(ヴィラン)を殺める陽炎を支持する街の人達に眉を顰める皆。やり過ぎだと思う反面、そうしなければ現状が悪化するだけだと、自分達がやらなければ誰も助けてはくれないのだと、そういう思いも理解出来無い訳では無かった。だから、酷く悲しい気持ちになる。

こんな事は思いたくは無いけれど、本当にこの街のヒーローは何をしているのだろうかと、去年の大規模作戦よりも前から信用を失っていたこの街のヒーローは何を考えてヒーローとして留まり続けているのだろうかと。そう思ってしまう。

「その子が言うには、陽炎の本質と言うか目的は攫われた人達の救出や密売とかを邪魔したり、そういう事をやってるみたいで……」

ヒーローよりも目に見える形で実績のある陽炎をこの街の人達は支持しているのだと、カイ君から聞いた事をそのまま話すと、お父さんは「成程な。思ったよりも根深い案件だったか」と、呟く。

「それでその子から皆に伝言を預かってて……」
「伝言？」

首を傾げる皆にカイ君のあの言葉をどう伝えれば良いのか分からず「ごめんなさい。どう言えば上手く伝わるか分からないから、そのまま伝えるね……？」と、膝の上でｷﾞｭｯと拳を握る。

「陽炎を嗅ぎ回る前にヒーローを嗅ぎ回った方が有益だって……」
「何でヒーロー？」
「叩けば出て来る埃と一緒だよって言ってたけど、それ以上の事は何も聞いてなくて。ごめんね、中途半端な事しか分からなくて」

その言葉を理解出来無い訳では無い。理解出来てしまうからこそ、カイ君の言葉をそのまま伝える事しか出来無かったのだ。