【ヒロアカ】20と1の一等星５

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―――旅館に戻ると、情報共有の為にパトロールから戻っていた皆がフロントに集まっていて、私に気付いた透ちゃんが「あ！お帰り！観光どうだった？」と、駆け寄ってくるついでとばかりに抱き着いてくる。

「えっと……その、楽しかったよ……？」

皆が働いている中で一人この街を満喫していた事に負い目を感じつつも、此処で気遣って何も言わなければ、それはそれで心配されてしまうと、正直に話した。

「お前等、情報共有なら飯の時にしろ。他の客に迷惑だ」

そうお父さんがフロントに顔を出したので、買ったキーホルダーを渡そうと透ちゃんから離れて駆け寄ると、お父さんは「お帰り。何も無かったか？」と、聞かれたので頷く。

「危ない目には遭ってないです。でも、その……」

カイ君から聞いた話をこの場で話して良いものかと、視線を泳がせてしまうと、お父さんは「取り敢えず、大広間に集まれ。飯だ」と、軽く私の頭を撫でてから行ってしまうので、何だかもう少し話したかったと寂しさを感じてしまう。

それから皆と大広間に向かい、皆で夕食を摂りながら目の前で交わされるパトロールの報告内容に何とも言えない気持ちになった。と言うのも、誰も街の人達から話を聞く事は出来無かった様で、声を掛け様とするとそそくさと逃げられてしまったのだという。

陽炎の事は疎か、この街の事についても何の情報も得られず、会敵する事も無かった様で、一日中街を歩き回っていたと、溜め息に混じりに話していた。そんな皆の話し合いの邪魔にならない様にお父さんとオールマイトの隣で食事を摂っていた私は、いつ話を切り出そうかとﾁﾗｯとお父さんを見ると、お父さんは直ぐに視線に気付いてくれて「どうした？」と、声を掛けてくれた。

「あ、あの……私、多分、役に立てるかも知れない、です。今日、この街の子とずっと一緒に街を回ってて、この街の事とか陽炎の事とか……その、ヒーローの事も聞いてて、それで……」

そう言うと、自然と皆の視線が集まってしまい、役に立てるかも知れないと言った手前、あまり有益な情報では無かったらどうしようと、途端に言葉に詰まってしまう。

意図して得た情報では無いけれど、それもこれも全部カイ君が教えてくれた事で、伝言の様なものも預かっている為、緊張を解す様に軽く深呼吸をする。