【１３８】緑谷side ページ44
思い返してみても、かっちゃんだけは彼女を特別気に掛けていた様には見えず、彼女で言う所の皆の心配にかっちゃんは含まれてはいないのではないかと、考えさせられる。つまり、彼女が望む距離感をかっちゃんは体現している唯一の人物とも言えるのだろう。
「大体、テメェ等はあの軟弱女の保護者のつもりかよ。此処に来た経緯は兎も角、同年代の連中にガキみてぇに事ある事に心配だの何だの、普通に考えりゃあ誰だってうぜぇだろうが」
かっちゃんの言葉は尤もだった。無意識とは言え、こうして指摘されると、何処か同年代である筈の彼女を庇護しなければならない様な気になってしまっていたのも事実だった。
「テメェ等の過剰なお節介が軟弱女にそう思わせてたなんざ、今更過ぎんだろ。個性の知識を持ったクソデクでも個性の扱いに難儀しとったもんを発展途上とは言え、発動時の威力の最小化、飛行に至る制御をこの短期間で身に付けた奴がテメェ等のお節介をなんとも思わねぇ筈ねぇだろ」
確かに彼女は出来る事への努力は惜しまなかった。歩行に関するリハビリも、ヒーロー志望でも無いただの女の子には中々に厳しい相澤先生の筋トレを乗り越え、彼女は一人で動き回れる様になっていたのだ。そんな相手に、かっちゃんの言う通り僕達は過剰に心配を押し付けてしまっていたのだと、改めて気付かされる。
「守ってやるだの心配だの、何様のつもりで言ってんのかは知らねぇし聞く気もねぇが、テメェ等は他の奴にも一々そうやって心配だっつってストーカー紛いな事してんのかよ」
キメェ……と、そう吐き捨てて自室に戻る様に男子棟のエレベーターへとかっちゃんが向かおうとした時だった。不意に女子棟のエレベーターが動き始め、彼女以外の女子がこの場に揃っている為、自然と彼女が部屋から出て来たのだと、皆がそれと無く何事も無かったかの様に振る舞い始める。
そして、エレベーターから眠たそうに軽く欠伸をしながら出て来た彼女は談話スペースに集まる僕達を不思議そうに見ると「あ、百ちゃん。今からちょっと良い……？」と、八百万さんへと近付いて行く。
「ええ、どうかなさいまして？」
「うん。教室に筆箱忘れちゃって……流石に夜の校舎って怖いから、一緒に来てほしいなぁと思って」
そう困った様に眉を下げながら苦笑を零す彼女は「それにおとっ、あ、相澤先生が誰かと一緒じゃないと許可してくれなくて……」と、指先で頬を掻く。
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パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
