【１３４】 ページ40
どんなに優しい心配でも、与えられ過ぎるとそれは不安へと変わってしまう。本当に皆が居なければ何も出来無い人間になってしまうのではないかと、今よりももっと駄目な人間になるイメージしか浮かばないのだ。だから、私は前に進む。そんな駄目な自分をなりたい自分に生まれ変わらせる為に。
「心配してくれるのは嬉しいよ……？でも、それと同時に何をするにも心配される様な人間だって、自分が情けなくなってくる。嫌になる。だから、もう心配しないで……？私は大丈夫だから」
そう安心させる様に笑みを浮かべ「そろそろ寮に帰ろ……？」と、話を切り上げる様に焦凍君に背を向けた時だった。急に焦凍君に無言で手を引かれ、驚く間も無く強引に振り向かされた時、一瞬何が起こったのか理解出来無かった。
視界の左側に映る焦凍君の赤い髪、密着している身体、少し苦しいと感じる程に私の背に回された腕。自分が異性に抱き締められているのだと、そう理解すると同時に息が止まりそうになる。
「わりぃ……お前の気持ちは尊重してやりてぇが、こればっかりは無理だ。気にすんなって言われても気になっちまう」
紡がれた言葉が、その低い心地の良い声色が、顔に熱を集中させていく。焦凍君が私を抱き締めるのはこれで二回目だ。前回はそれどころじゃなくて気にならなかったけれど、これはかなり良くない状況なのではないだろうかと、羞恥心が込み上げてくる。
「弱いとか強いとか、んな事言ってる訳じゃねぇ。弱いから心配してる訳でも、何も出来無ぇとも思っちゃいねぇよ。けど、大事にしてぇから心配してんだ」
目眩がしそうになる。本当に心臓に優しくない。真面目に話している焦凍君には悪いけれど、抱き締められているこの状況下で脳が正常に働く訳も無く、情報の処理が全く追い付いていなかったのである。
何も言えず、動く事さえ出来ず、落ち着かない心臓と熱さなんて滅多に感じない筈の身体が急激に熱を帯び始め、ただ一言、離してほしいと伝える事すら出来無いまま抱き締められていた。
「……A？」
顔を覗き込む様に僅かに離れた焦凍君。その瞬間ﾊｯと我に返り、改めて視界に入った焦凍君の顔を思わず掌で無遠慮にぶにっと押し退けると、焦凍君は「……おい」と、不機嫌そうに眉を顰め出す。
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パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
