【１２９】side無し ページ35
否が応でも察してしまう。一人になった彼女がこのマリオネットと名乗る敵(ヴィラン)と遭遇してしまったのだと。そして、その名の通りの個性を受けてしまっていたのだと。
「何が目的だ。そいつを解放しろ」
「それは無理な相談だねぇ。何せ、この子のお陰で僕の身体は今全く動かせなくてねぇ。一瞬だったよ。光に目が焼かれたかと思えば、気付けば全身火だるまにされてねぇ……許せない、許せないよねぇ」
ねっとりと彼女の姿で薄ら寒い笑みを浮かべながら言うマリオネットと名乗る敵(ヴィラン)。相澤は勿論、生徒の中にもその敵(ヴィラン)の名を知る者はおり、緑谷は「……連続女児殺害事件の容疑者」と、呟く。
「ご名答〜！基本的に小さい子にしか興味無かったんだけどねぇ？何だが丸っこい背中とこの子の髪に惹かれてねぇ。怯えて泣きながら吐いてたみたいだし、ちょーっと髪を頂いただけなのに、この子、更に怯えちゃってねぇ……」
そう両手を広げ、恍惚と目を見開きながらくるくると回り出した彼女は「酷いよねぇ、どうせなら殺してくれたら良かったのにねぇ」と、歌う様に言葉を紡ぐ。
「本当に一瞬だった。身を焼かれたと気付くのが遅れてしまう程に、この子の背から生えた翼は美しかった。是非とも手に入れたいと、意地でも切り取った髪を離さなかったさ」
「この、ゲス野郎……！」
怒りに拳を震わせ、今にも人を殺しそうな殺意と憎悪に染まる瞳をみせる轟だが、操られているだけの彼女に手を上げる訳にもいかず、ｸﾞｯと奥歯を噛み締める。
「さて、そろそろそこを退いてもら……っ！」
余裕たっぷりだった表情が何故か急に歪められ、両手を震わせながら自身の肩を抱き出した彼女に「このっ、大人しく怯えてなよ……」と、何かを押さえ付ける様にヨタつき出す。
「っ、出てって……！！」
「A……？」
「返してよ、私の身体……返してよっ！！」
まるで悲鳴でも上げるかの様に叫ぶ彼女はﾌﾟﾂﾝｯと糸が切れた様にその場に座り込むと、はぁはぁ……と肩で呼吸をしながら泣き始めるので、彼女の意識が戻ったのだと、轟が駆け寄った時……
「近寄らないで……！」
彼女はそう轟を拒絶する様に突き飛ばしたのだ。
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パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
