【１２６】轟side ページ32
思えば、俺達が傍に居たからこそ、彼奴は比べてしまったのだろう。同年代の……しかも同じクラスの奴等がヒーロー志望で、強く在ろうと日々努力を重ねる姿を見て来たからこそ、そう自分を貶めて否定するしか無かったのだろう。仮に彼奴がヒーロー科じゃなくて、それこそ普通科の生徒の輪に居たとすれば、逃げる事を詫びなきゃならねぇ様な事にはならなかった筈だ。
「……もう、良いだろ。どんだけ自分を貶めれば気が済むんだ。まだ貶め足りねぇってんなら、その分俺がお前を肯定してやる」
「焦凍君……」
「弱くて良い、泣き喚いて縋ったって良い。迷惑とか思ったりしねぇから、俺に全部ぶつけりゃ良いだろ」
全部受け止めてやる。お前が言う弱さも臆病さも、そんなのは誰もが持ってる当たり前の感覚で、選択の違いだけだと、何一つ自己を貶めるものでは無いのだと、俺が傍で彼奴が否定する自分を肯定し続けてやる。
「もう……ホント、ヒーローだなぁ、焦凍君」
そう僅かに笑みを見せた彼奴は「よっこいしょ……っと」と、俺の肩を支えに立ち上がり、俺に手を差し伸べた。
「帰ろう、焦凍君。帰って、それから一緒にご飯作ろ……？色々あって台無しになっちゃったけど、最後はちゃんと楽しい一日だったって、思いたいから」
これの何処が弱いんだと、思わず呆れた。こうして立ち上がる事も前を向く事も出来る人間が、弱い人間である筈が無い。
「その服、どうすんだ？」
「え、あー！！どうしよ、借り物なのに……」
「一緒に頭下げてやるから、泣くな」
「な、泣いてません……！」
「さっきまで泣いてただろ」
「さっきと今は違う！」
投げ捨てられた荷物を拾い、流石にこのまま歩いて雄英に帰るには彼奴の姿は目立ち過ぎると、平気だと喚く彼奴を無視してタクシー呼び、文句を垂れながらもタクシーに乗り込んだ彼奴はものの数分で疲れて眠ってしまったのだった。
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パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
