【１２４】轟side ページ30
俺が何とかしてやるとほざきながら、彼奴を一人にした結果がこれだ。何が安心しろだ、何が守ってやりたいだ。何も守れてなんかねぇ、安心なんか出来てねぇだろ。そう、自分に対する怒りで頭が可笑しくなりそうだった。
一体彼奴の身に何があった……？人を傷付けるかも知れないと、その個性を要らないと言った彼奴にそれを行使させた奴が居た事は確かで、不自然に切り取られた髪もそいつの仕業である事は間違い無いだろうが、今はそれよりも安心させてやる方が大事だと、一人で逃がした事を詫びる。
俺が傍に居れば、俺が彼奴を一人にしなければ、俺がちゃんと守っていれば、こんな事にはなってなかった筈だ。全部、俺の判断ミスが齎した事だ。
そう悔いる様に眉を顰めた時、不意に彼奴の腕が俺の背中に回された。そして、まるで見透かす様に優しく俺の背を擦る彼奴は「ううん。来てくれて、ありがと……焦凍君」と、告げたのだ。
彼奴は自分を弱いと言う。臆病で弱虫で、泣きたくないと自分を否定する。だが、こうして恨み言一つ言わずに俺を許そうとする彼奴の何処が弱いと言うのか。本当に弱い人間だと言うのなら、彼奴は俺を責めただろう。何でもっと早く来なかったのか、何処で何をしてたんだと、そうヒーローを責める今の市民の様に、無力を突き付けて来たとしても可笑しくは無い筈だ。
「……責めて良いんだぞ」
気遣って何も言えないなら、無理にでも吐き出させてやる。だから、いっその事責めてくれ。何一つとして許さなくて良い。守ってやれなかった、一人にしちまった。彼奴にはそれを責める権利がある。
そう彼奴からの謗りを甘んじて受けようと、軽く彼奴を引き離せば、彼奴は切なげに眉を顰めながら「馬鹿だよ、焦凍君……」と、俺の頬に手を伸ばし、いつもよりも強い力で引っ張り出した。
「逃げ出した私が、焦凍君の何を責めれば良いの……？焦凍君の方こそ、私を役立たずの足手纏いで邪魔だって、迷惑ばっか掛けやがってって、そう責めて良いよ……？」
何言ってんだ、此奴。役立たずの足手纏い……？邪魔だ？迷惑って、何の事だ……？そう何一つ彼奴の言葉が理解出来ずに凝視すれば、彼奴は泣くのを必死に堪える様に唇を噛み締め、視線を落とす。
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パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
