【１１６】 ページ22
少し不安になって焦凍君の顔を盗み見る様に顔を上げれば、焦凍君はそんな私を見透かしていたのだろう。前を向いていると思っていた焦凍君と目が合い「安心しろ、何かあっても俺が何とかしてやる」と、頼もしい事を言ってくれたのだ。
「焦凍君、蕎麦以外で何か食べたいものとかある……？」
「何だ、急に」
「え、えっと……今日のお礼に夜は、ご飯作りたいと思って……それしか、返せるものって私には無いから」
そう言うと、焦凍君は以前横から摘み食いしていた卵焼きが相当気に入っていたのか、口元に手を当てながら「お前が作ったやつなら何でも食うぞ」と、何処か楽しそうに言うので、今夜は卵焼きは外す訳にはいかないと、私も気合いが入ってしまったのだ。
それから正門を抜けて、街まで距離があるのでバスに乗って賑やかな街並みにテンションを上げて、焦凍君のお姉さんがオススメする喫茶店に入り、見た目からしてヨダレが止まらない美味しそうなフレンチトーストを堪能する。
焦凍君は「甘過ぎねぇか、これ……」と、言っていたけれど、付属の苦味のあるキャラメルソースがその甘さを緩和してくれる様に程良く口の中を駆け巡るので「これぞ、極上の至福……です！」と、歓喜していたのだ。
「腹も膨れたし、そろそろ行くか」
「何処に……？」
「少し歩いた所にショッピングモールがある。買い物、するんだろ？」
「うん……！」
お会計をしようとお父さんから貰ったがま口財布を開こうとすれば、焦凍君は「俺が出す。お前は後で好きな物買えよ」と、伝票をさっさとレジまで持って行くので「半分出す！」と、後を追い掛けるけれど、焦凍君は意地でもお金は受け取ってくれなかったのだ。
「……」
「おい、まだ拗ねてんのか」
お店を出てショッピングモールに向かいながら、じーっと焦凍君を睨む私に、焦凍君は溜め息を付きながらそう言ってくる。
「別に、拗ねてる訳じゃなくて、折角お小遣い貰ったのに……」
「拗ねてるだろ、それ」
「拗ねてません……！いじけてるだけ、です」
ｻﾗｯとナチュラルに手を繋いで来る焦凍君に溜め息を零した時、不意に周りの視線が気になって辺りを見渡すと、行き交う女の人達の視線が焦凍君へと向けられていて、何だかやっぱり恥ずかしさと少しばかりの気持ちの悪さを感じてしまった。
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パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
