【１１５】 ページ21
「似合ってる」
「かっ、からかわないで……」
皆に笑われながら何故か玄関先まで見送られ、自然と朝ご飯は食べられないのかと、軽くお腹に手を当てると、焦凍君が「腹痛てぇのか？」と、顔を覗き込んで来た。
「あの……朝ご飯は食べないのかなって」
「外で食えば良いだろ。姉さんが女子が好きそうなモーニングがある店教えてくれたから、そこで良いか……？何か、フレンチトーストが美味いらしい」
「フレンチトースト！？それは楽しみ！」
甘い物は好きだ。元気が出る。幸せにもなれる。素晴らしい食べ物だと思う。食べ過ぎると大変な事になるけれど、フレンチトーストという魅力的な食べ物に自然と頬が緩むが自分でも分かった。
「じゃあ、行くか」
「轟さん、エスコートですわ！」
「ちょ、百ちゃん！？」
にやにやとする皆を恨めしく思いながら「そんなの良いから……！」と、焦凍君に言うけれど、焦凍君は特に何も気にしていないのか、百ちゃんの言葉通りにエスコートでもするかの様に手を差し出してきて……
「し、心臓に優しくない……」
「良いから、行くぞ」
「うっ……気持ち悪いって思ったら、離してくれて良いから……」
渋々差し出される焦凍君の手に遠慮がちに手を乗せると、それを取った焦凍君は僅かに笑みを零しながら歩き出すので、皆に振り返り「い、行ってきます……」と、寮を出た。
「はぁ……もう、朝から大変だった」
「そうなのか？」
「寝てたら皆が部屋に押し掛けて来て、あっという間にこの格好にさせられちゃって、街を案内してもらうだけなのに……」
そう軽く溜め息を零しながら中々に距離がある正門までの道のりを歩き、そう言えばと「ねぇ、焦凍君」と、何と無く気になった事を問い掛けてみる。
「外って事は……その、敵(ヴィラン)も居たりするんだよね……？普通の人と敵(ヴィラン)の見分け方とかって、ある……？」
「見分け方とかはねぇが、そういう連中は大抵怪しかったり何か仕出かしてたりするから分かる」
敵(ヴィラン)と普通の一般人に違いがあるとすれば、それは悪意の有無なのだという。それは内面的にそうである場合は気付き辛いのかも知れないけれど、明らかに人に害を成そうと動き出している人達はそういう独特な怪しさというものを放っている様で、途端に学校の外側の世界がまるで猛獣でも徘徊していそうな危険区域の様に思ってしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - 529zinbeizameさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！楽しんで頂けて本当に嬉しく思います！ご期待に添えられる様に頑張りたいと思います！今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年1月23日 21時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白くていっきみしてしまいました！！最高に面白いので更新よろしくお願いします！応援しています٩( 'ω' )و (2022年1月23日 13時) (レス) id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2022年1月13日 20時
