【８７】緑谷side ページ41
余談ではあるけれど、彼女の翼にかっちゃんのニトロ成分を含んだ汗を垂らせば、その時点で大爆発が起きてしまうだろう。彼女自身に自覚は無くとも、かなりの強個性である事は間違い無いと思う。今はまだ、個性を自在に発動出来無い様だけど、使いこなす事が出来れば、ヒーロー向きの素晴らしい個性になるに違いない。
そんな事を浮遊しながら並列思考と同時個性展開の練習ついでに考えていた時、唐突に巻き起こった熱風に僕は勿論、同じ様に宙に浮いていた麗日さんやダークシャドウを利用して飛行していた常闇君はバランスを崩し、吹き飛ばされてしまったのだ。
「なっ、何……！？」
誰もが熱風が吹き抜けて来た方を見ると……
「出来たーっ！って、お父さん……！？」
寮で見た時よりも大きな白い炎を纏った翼を背中から出していた彼女は、熱風により演習場の壁に吹き飛ばされたであろう相澤先生を見て悲鳴を上げていた。
「半端ねぇな、あれ……」
壁に叩き付けられない様に宙に浮いていた僕達三人にテープを伸ばしてくれた瀬呂君に感謝しつつ、その呟きに同意する様に頷く。今も尚、翼から激しい熱気を演習場に放っている彼女は翼を引っ込める方法も分からないのだろう。離れた場所に居る僕達の目にも酷く取り乱している事がよく分かる。
「……綺麗だよな、彼奴の羽」
そう発動時に舞散ったであろう熱の塊である羽から僕達を守る様に瞬時に氷結で覆ってくれた轟君は、自分の目の前にﾋﾗﾋﾗと落ちて来た羽を氷漬けにして掌に乗せていた。
「それ、触って大丈夫なの……？」
「直に触れなきゃ問題ねぇ。流石に左でもこれに触れられねぇけどな」
ｼﾞｭｰ……と、蒸気を上げながら氷を溶かす白い羽は氷が溶け切る前に消えてしまい、それを何処か名残惜しそうに見詰める轟君はそのまま静かに彼女の元へと歩き出して行く。その姿に思わず瀬呂君を見れば、瀬呂君も僕と似た様な事を思っていたのか、同じ様に僕の顔を見ていて、目が合った瞬間、互いに自分の思い違いでは無いのだと、気付いてしまう。
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パル(プロフ) - もぐさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!ひぇ……長編作ばかりなので大変だったと思いますが書き手冥利に尽きると言いますか、本当に嬉しく思います！有難う御座います！！ドロドロ鬱展開は今まで書いた事が無かったのですが書いてみたくなりました！今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月18日 18時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - どの作品も性癖に刺さり一気に全作読ませて頂きました！やはり文章の綴り方がお上手なのか全くタイプの違った今作も最高です！いつかドロドロ鬱展開のバッドエンド作品も読んでみたいと思いました。これからも応援しております！ (2021年12月18日 16時) (レス) id: 1c01f7244c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年12月11日 19時
