【８２】 ページ36
ただ生かされる為だけにこの世界に飛ばされた訳じゃないと、そう思いたい。もう二度と元の世界に帰れないのなら、私は此処でこの世界の人間として生きていく。ううん、違う。私はこの世界の人間として生きたいのだ。皆と同じ、この世界の一人として。
さあ、今こそプルスウルトラだ。この世界のお父さんが教えてくれた自身を奮い立たせる為の魔法の言葉。私には無かったを気合と根性を与えくれる雄英の校訓。
「お父さん、私に相澤の姓を名乗らせてほしいです。この世界の人間になりたい。ちゃんと、戸籍上だけじゃなくて、お父さんの子供で、保護されてるんじゃなくて、この場所で皆と生きていたいって、思ったから……だから！私、相澤Aになりたいです！！」
そう膨らみ上がった気持ちを言葉に乗せて吐き出すと、お父さんはわざとらしく溜め息を吐き出し「改まって話があるって言うから身構えていたが……」と、私の頭に手を乗せる。
「何を今更。お前はとっくに俺の子供だよ」
「……！」
「にしても、まぁ……本当に良いのか？お前の唯一こっちの世界に持って来れた大事な名前だろ」
清水の姓を無くす訳じゃない。これは私が元の世界でお母さんの子供として生きた証明でもある大切な名前だけれど、それはもう、私の中に仕舞っておこうと思うのだ。
「なんて言うか、生まれ変わりたいなって思ってて……だから、強くてカッコイイヒーローのお父さんの苗字があると、何だか私も強くなれる気がして」
いつでも背中を押してもらえる様な気持ちになる。いつでも支えてくれて、力になってくれる存在が傍に居てくれている様な、心強さがあるのだ。
「ﾌｯ……父親冥利に尽きるな」
「そ、それと……！我が儘言ってもいい、ですか……？」
「ああ、今なら何でも買ってやる」
「なら！その……携帯が、ほしいです……」
そう告げると、お父さんは軽く頭に手を当て「すまん、失念していた」と、申し訳無さそうに言うので、何だか私も申し訳無い気持ちになってしまう。そんなお父さんに焦凍君が追い打ちを掛ける様に「そう言えば持ってなかったな。連絡手段」と、ﾎﾞｿｯと呟いた。
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パル(プロフ) - もぐさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!ひぇ……長編作ばかりなので大変だったと思いますが書き手冥利に尽きると言いますか、本当に嬉しく思います！有難う御座います！！ドロドロ鬱展開は今まで書いた事が無かったのですが書いてみたくなりました！今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月18日 18時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - どの作品も性癖に刺さり一気に全作読ませて頂きました！やはり文章の綴り方がお上手なのか全くタイプの違った今作も最高です！いつかドロドロ鬱展開のバッドエンド作品も読んでみたいと思いました。これからも応援しております！ (2021年12月18日 16時) (レス) id: 1c01f7244c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年12月11日 19時
