【６４】 ページ18
情報を処理しているのか、焦凍君は口元に手を当てたまま黙り込んでいて、顔色を窺う様にﾁﾗｯと盗み見るけれど、険しい顔には変わりは無くて、何も言わない方が良かったのでは無いかと、早速後悔してしまう。
「……わりぃ。言ってる意味も話の筋も理解は出来るが、少し待ってくれ。消化出来ねぇ」
「う、うん。そうだと思う……私も、自分に降り掛かった事だけど、未だによく分かって無くて……ただ、漠然と結果だけがこうしてある……みたいな？」
当事者である私ですらこんな状態で、お父さんが特殊過ぎたのだと改めて思い知る。そもそも、この世界に飛ばされたという説もお父さんが導き出した可能性の話で、もしかすると、此処は現実では無く、未だに眠り続けている私が夢を見ているだけなのかも知れない可能性も否定出来無い。
焦凍君や百ちゃん、他にもクラスの皆は本当は存在しない夢の中の住人で、だからこそ、優しくて暖かい言葉ばかりをくれるのかも知れないと、皆の存在さえも疑ってしまう。
「夢……なのかも」
「夢？」
「そう。私、多分まだ入院してて、目が覚めて無くて、その中で見てる夢なのだとしたら……皆の個性とかヒーローとかも、何と無く夢の世界なら実現してても不思議じゃないと思うから……」
そう言うと、焦凍君は徐に左手を前に出したかと思えば「なら、確かめて見るか？」と、その手に炎を灯し、左右で色の違う綺麗な瞳で射抜く。
「生憎、俺にとっては此処は現実で、お前が言う様な夢の世界ってやつじゃねぇ。けど、お前がそう思ってんなら、確かめて見れば良いだろ」
触れて確かめろとでも言う様に、焦凍君は私の前に手を持って来る。直接触れてはいないけれど、仄かに感じる熱は本物の様で、それに恐る恐る手を伸ばしてみると……
「……？」
「っ、お前、熱くねぇのか？」
「熱いと言うか、暖かい……です？」
確かに焦凍君が出す炎に触れている筈で、本来なら今頃手が焼けている筈なのに、私の手は暖かさを感じても焼ける事は無くて、益々夢なのでは無いかと疑ってしまう。
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パル(プロフ) - もぐさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!ひぇ……長編作ばかりなので大変だったと思いますが書き手冥利に尽きると言いますか、本当に嬉しく思います！有難う御座います！！ドロドロ鬱展開は今まで書いた事が無かったのですが書いてみたくなりました！今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月18日 18時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - どの作品も性癖に刺さり一気に全作読ませて頂きました！やはり文章の綴り方がお上手なのか全くタイプの違った今作も最高です！いつかドロドロ鬱展開のバッドエンド作品も読んでみたいと思いました。これからも応援しております！ (2021年12月18日 16時) (レス) id: 1c01f7244c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年12月11日 19時
