【４８】 ページ2
植えられている木々も緑豊かで、緩やかな風に揺られる葉っぱでさえも、私の居た世界と変わらない筈なのに、何故か幻想的に見えてしまうから不思議だ。雄英がそう見えるだけなのかも知れないけれど、生憎この足ではまだ敷地の外には出られそうにないので、そこは大人しく諦めようと思う。
皆は休日をどう過ごしているのだろう。学校の外に遊びに行ったり、家に帰って家族との時間を大切にしているのだろうか。もしかしたら、恋人なんて存在も居るのかも知れない。そんな事をぼんやりと考えながら適当に歩いていると、通り掛かったベンチにお父さんの首に巻いている物と似た様な布を見付けた。
「お父さんの忘れ物……？」
「それ俺の」
筋トレでもしていたのだろうか。首に掛けたタオルで汗を拭いながらやって来た心操君に「あ、おはよう。心操君」と、声を掛けてみる。
「おはよ。良いの？一人で出歩いてて」
「だ、大丈夫……です。少しは歩ける様になったから」
「ふーん。で、何してんの？」
「散歩と探検、です。まだ寮の外って校舎しか知らなくて……」
そう言うと心操君は何処か楽しげに「アンタ、クラスの奴等に何も言わずに来た訳？」と、笑っていて、笑う要素が何処にあったのか分からず「そうだけど……笑う程変かな」と、何と無くベンチに腰を下ろす。
「いや、別に。ただ、心配してんじゃねぇの？」
「そんな事無いと思うよ……？ほら、今日は休日だから皆も自分の為に時間を使える日で……私が寮に居ると気を遣わせてしまうから」
「成程。それで散歩と探検ね」
口元に手を当てて尚も肩を震わせながら笑う心操君は「アンタ、鈍いって言われるだろ」と、確信めいた様に言うので何だかﾑｯとしてしまい「体調面以外では言われた事無い、です」と、言い返す。
「そ、そりゃ……鋭い方じゃないと思うけど、鈍いって事は無いと思いたい……です」
「ただの願望だろ、それ」
「うっ……まぁ、うん。鈍いと言うか、不注意が過ぎた結果がこの身体だから、何とも言えないかも」
軽く溜め息を零せば、心操君は「事故ったって言ってたっけ？」と、少し距離を開けてベンチに腰を下ろす。
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パル(プロフ) - もぐさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!ひぇ……長編作ばかりなので大変だったと思いますが書き手冥利に尽きると言いますか、本当に嬉しく思います！有難う御座います！！ドロドロ鬱展開は今まで書いた事が無かったのですが書いてみたくなりました！今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月18日 18時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - どの作品も性癖に刺さり一気に全作読ませて頂きました！やはり文章の綴り方がお上手なのか全くタイプの違った今作も最高です！いつかドロドロ鬱展開のバッドエンド作品も読んでみたいと思いました。これからも応援しております！ (2021年12月18日 16時) (レス) id: 1c01f7244c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年12月11日 19時
