【３３】 ページ34
世界の違いは埋まらないのかも知れない。そう察するには充分過ぎる皆の反応に、はしゃいでしまった自分が恥ずかしくて、変だと思われた事に何だか皆を見る事も出来ずに俯いてしまった。
「……ごめんなさい。皆にとっては普通な事なのに、一人ではしゃいじゃって……ごめん」
私がこの世界の人間では無い事で生まれる感覚のズレなのだろう。今直ぐには時間も経験も全く足りない為、慣れるには難しいのかも知れないけれど、こればっかりは本当に慣れていかないといけないものなんだと思う。そう、思っていると……
「違いますわ！そうではありませんの。ただ、あまりにもAさんが褒めて下さいますので、照れてしまって……」
「え……？」
顔を上げると百ちゃんは頬に手を添えながら何処か気恥しそうに話していて、てっきり変に思われたのかと思っていたからか、何だか呆気に取られてしまう。
「何つーかさ、そうやってスゲェって褒められんのって、今はもうあんま無くなっちまってるし、それをめっちゃこうやってぶつけてくれんのとか、結構嬉しいっつーか……マジで照れるっしょ」
そう頬を指先で掻きながら言う上鳴君に「可笑しくないの……？」と、恐る恐る尋ねてみると、二人に加え、他の皆も一斉にそれを否定してくれて、安堵から柔い涙腺が緩み始める。
「清水、お前はそれで良いと思うぞ。思った事何でも口に出してくれた方が俺達も助かる」
「そうだよ！Aちゃん遠慮ばっかだから、どんどん言ってめっちゃ褒めて良いんだからね！」
どうしてこんなにも皆は優しいのだろう。暖かい言葉をくれるのだろう。昨日会ったばかりの人間で、皆は知らないとは言え、私は異世界人で、自分でまともに歩く事も出来無くて、迷惑ばかり掛けてしまっているのに、嫌な顔一つせずに良くしてくれて、本当に身に余る。
「って、泣くなって！ほら！スマイルスマイル！」
「うどん伸びちまうぞー？」
「うぅ……食べる」
堪え切れずに流れ出した涙をそのままに食事を再開すれば、うどんの熱気に鼻水が出そうになってしまい、それはそれで恥ずかしくて必死に垂らすまいと啜ると、百ちゃんが「鼻、かみます？」とティッシュを差し出してくれて、結局恥も外聞も無く盛大に鼻をかんでしまったのだった。
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パル(プロフ) - 柴ぬいさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!知らないからこその新鮮さや衝撃などなど、普通だったらこういう反応になるかな？と考えながら書いていたのでこうしてその点に関してのｺﾒﾝﾄ頂けて嬉しく思います！また表現についても感想下さり、こちらこそ本当に有難う御座いました！ (2023年3月14日 18時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
柴ぬい - めっちゃ最高でした！（全部読みました！）ヒロアカを知らない体での転生ものは初め読み進めている時とても驚きました！また、胸にｽﾝｯと落ちてくる表現の仕方が半端なかったです！素敵で平和な世界線でのお話を読めて幸せです！ありがとうございました！！ (2023年3月14日 16時) (レス) id: c5d3bd3937 (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - ひながきさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!楽しんで頂けるか分かりませんが、楽しんで頂けると幸いです！貧弱綺麗事万歳夢主をよろしくお願いしますww (2022年10月2日 23時) (レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - まだ呼んでいないのにコメントをするという奇行をさせていただきます。要注意の【貧弱綺麗事万歳夢主】という語彙が好きです。これから読まさせていただきます、笑 (2022年10月2日 15時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年11月11日 23時
