【２９】 ページ30
芦戸さんも上鳴君も勉強が苦手なんだ。と、ﾎｯとしたのも束の間。百ちゃんは何処からとも無く「いえ！Aさんはこれからですのよ！」と、沢山何やら教材の様なものをﾎﾟﾝﾎﾟｺ鞄から出していて、思わず顔が引き攣ってしまう。
「私が今日からみっちり教えて差し上げますわ！ですので、頑張りましょう？Aさん」
「ほら、Plus ultraなんだろ」
そう口元を軽く押さえながら僅かに肩を震わせている焦凍君を少しばかり恨みつつ「ぷるすうるとらー！」と、半ばヤケクソ気味に叫んだのだった。そして、その後開始された授業では、呪文の様に聞こえる先生達の話に全くついて行けず、それでも両サイドから百ちゃんと焦凍君が懇切丁寧に解説してくれて、何と無くの域は出ないものの、理解は多少なりとも出来た……と、思う。
お父さん、ごめんなさい。私はとてもバカな子です。と、心の中で謝りながら分からない問題に衝突する度に「ぷるすうるとら、ぷるすうるとら……」と、唱えていた。その度に焦凍君に笑われ、百ちゃんに教えを乞う。それの繰り返しだった午前の授業は、既に私を疲弊させるには充分過ぎるものだったのだ。
「ぷるす、うるとら……うっ」
ﾊﾞﾀﾝｯと机に突っ伏すと、百ちゃんは「中間考査に間に合えば宜しいのですが……」と、不安そうにしていて、自然と私の頭の心配をしてくれているのだと涙が出そうになる。
「清水、昼飯行くぞ」
「お昼……もうお昼！？」
ﾊﾞｯと顔を上げた途端、お腹がぐぅぅぅ……と何とも情けない音を周囲に響かせてしまい、咄嗟にお腹を押さえてみるも両サイドの二人は勿論、近くに集まっていた透ちゃんや芦戸さん、上鳴君に瀬呂君、切島君にもばっちりと聞かれてしまった様で……ﾆﾀｧと悪どい笑みを浮かべる芦戸さんと上鳴君のコンビに思わず頭を両腕で覆い隠しながら再度机に突っ伏した。
「食堂に強制連行だぁー！！」
「どけどけー！腹減り清水のお通りだー！」
羞恥心に苛まれる私を余所に何故か盛り上がり出した二人は教室の後ろの方に置いていた歩行器を持って来ると「ささっ！腹減り清水！美味いもん食いに行こうぜ！」と、腹減りを強調する上鳴君を心底恨んでしまうのだった。
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パル(プロフ) - 柴ぬいさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!知らないからこその新鮮さや衝撃などなど、普通だったらこういう反応になるかな？と考えながら書いていたのでこうしてその点に関してのｺﾒﾝﾄ頂けて嬉しく思います！また表現についても感想下さり、こちらこそ本当に有難う御座いました！ (2023年3月14日 18時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
柴ぬい - めっちゃ最高でした！（全部読みました！）ヒロアカを知らない体での転生ものは初め読み進めている時とても驚きました！また、胸にｽﾝｯと落ちてくる表現の仕方が半端なかったです！素敵で平和な世界線でのお話を読めて幸せです！ありがとうございました！！ (2023年3月14日 16時) (レス) id: c5d3bd3937 (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - ひながきさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!楽しんで頂けるか分かりませんが、楽しんで頂けると幸いです！貧弱綺麗事万歳夢主をよろしくお願いしますww (2022年10月2日 23時) (レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - まだ呼んでいないのにコメントをするという奇行をさせていただきます。要注意の【貧弱綺麗事万歳夢主】という語彙が好きです。これから読まさせていただきます、笑 (2022年10月2日 15時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年11月11日 23時
