【２８】 ページ29
皆にとっては身近な存在の個性もその正体や発現する理由は分からなくて、それでも使いこなせている皆に驚いてしまう。聞けば、どうやら個性は通常四才までに発現するものらしく、子供の頃から息を吸うのと似た様な感覚で馴染んでいたのだとか。つまり、こう言ってはなんだけど、使えるから使っている、という感覚に近いのかも知れない。
そうこう話している内に校舎に到着し、皆にあれこれ手伝ってもらいながら教室まで辿り着く事が出来た私は、何と無く皆が良くしてくれる理由が分かった様な気がした。きっと、此処の皆は困っている人を放ってはおけない性分の人達で、だからこそ、ヒーローを目指しているのだろう。
どうにも介護されている様な感覚が否めないけれど、何だか皆が楽しそうに手伝ってくれる姿を見ていると、私にはもう充分過ぎる程に皆がヒーローに見えたのだ。
「Aさんのお席は……あ、私と轟さんの間ですわね！」
不自然に三つ間隔も無く並んだ席に、完全にお父さんが百ちゃんに私の事を任せている様な気がして、何とも居た堪れない気持ちになってしまう。
「ごめんね、百ちゃん。それから焦凍君も……」
「気にすんな。勉強は俺より八百万の方が頼りになるだろ」
「そんな事はありませんわ。ですが、お任せ下さい！Aさんは一ヶ月のブランクもあるでしょうし、ノートをお見せしますわ」
「本当に有難う、百ちゃん」
席に着き、どうにも美男美女に挟まれている感覚に落ち着かず、それでも百ちゃんからノートを借りてこの世界の授業の範囲に目を通す。そして……
「……うん。ぷるすうるとらー！」
「おっ、どうした？急に」
「いや、あの……おとっ、相澤先生が自分を奮い立たせる時に叫べば良いって、言ってくれて……それで」
正直、百ちゃんのノートに書かれていた内容の殆どを理解するには私の頭の中の知識を総動員したとしても、全てを正しく理解する事は出来無いのかも知れない。一ヶ月の遅れ以前に、何を応用しているのかさえ分からない。つまり、これはあれだ。私が通っていた高校と雄英高校では勉学の進行度が明らかに違っていたのだ。
「ふっふーん、Aのその反応！お仲間と見た！」
そういつの間にか私の前に来ていた芦戸さんは「大丈夫！私もバカだから！」と、何故か自信満々に言っていて、その声を拾っていた上鳴君が「なになにー？清水もこっち側か！」と、これまた何故か喜んでいた。
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パル(プロフ) - 柴ぬいさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!知らないからこその新鮮さや衝撃などなど、普通だったらこういう反応になるかな？と考えながら書いていたのでこうしてその点に関してのｺﾒﾝﾄ頂けて嬉しく思います！また表現についても感想下さり、こちらこそ本当に有難う御座いました！ (2023年3月14日 18時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
柴ぬい - めっちゃ最高でした！（全部読みました！）ヒロアカを知らない体での転生ものは初め読み進めている時とても驚きました！また、胸にｽﾝｯと落ちてくる表現の仕方が半端なかったです！素敵で平和な世界線でのお話を読めて幸せです！ありがとうございました！！ (2023年3月14日 16時) (レス) id: c5d3bd3937 (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - ひながきさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!楽しんで頂けるか分かりませんが、楽しんで頂けると幸いです！貧弱綺麗事万歳夢主をよろしくお願いしますww (2022年10月2日 23時) (レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - まだ呼んでいないのにコメントをするという奇行をさせていただきます。要注意の【貧弱綺麗事万歳夢主】という語彙が好きです。これから読まさせていただきます、笑 (2022年10月2日 15時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年11月11日 23時
