【１６】 ページ17
―――目を覚ました時、身体が妙に気怠くて、いつの間にか額に貼られていた冷えピタに発熱していたのだと気付かされる。ゆっくりとあまり力の入らない身体を無理矢理起こせば、そこは薄暗い部屋の中で、今私が眠っていたベッドと白いタンス、それと同じ種類のクローゼットがシンプルに置かれているだけの部屋に、自然と寮の前で気を失った事を思い出した。
此処が寮……私がこれから生活を送る事になる場所で、この世界の私の帰る場所になる部屋。ある程度はお父さんのお陰で自分が於かれている状況について理解は出来ているつもりだけれど、それでもやっぱり、自分の居た世界では無いのだと、涙が溢れてしまう。
嗚呼……もう、泣いてばかりだ。涙脆いと言うより、泣き虫な自覚はあったけれど、それでもこの世界に飛ばされてからはずっと泣いている気がする。なったものはしょうがないと割り切れるなら、どれ程良かっただろう。
それでも、自分に戸籍や住む場所を提供してくれたお父さんに対して、いつまでも泣いていては失礼だと、涙を拭う様に目をｺﾞｼｺﾞｼと腕で擦り、何とか前を向こうとﾊﾟﾁｯと頬を叩いてみる。
「うぅ……痛い」
当たり前だ。と、自分でやっておきながら痛みが走る頬に情けない限りだけれど、涙がじわりと滲んでしまう。どうにか目を擦り続け、半ば無理矢理涙を止めてベッドから下り様とすると、又してもｶﾞｸﾝｯと身体に力が入らず、床に倒れてしまった。
これは多分、あれだ。一ヶ月も眠っていた上に発熱しているから、身体に力が入らないのだろう。そう何とか自分の身体について分析し、生まれたての子鹿の様にｶﾞｸｶﾞｸと膝を震わせながらベッドを支えに立ち上がる。
そして、本当に今更だけれど、自分の格好が病衣である事に気付き、せめて何か羽織る物は無いだろうかと淡い期待を込めてタンスやクローゼットを開けるが、そこには一切何も無く、軽く落胆しながらも取り敢えず部屋を出た。
部屋から出るとそこには綺麗な廊下と並ぶ様に他にも部屋が幾つかあり、何処からか僅かに人の話し声も聞こえて来る。恐らく、お父さんの生徒さん達なのだろう。そんな事をぼんやりと考えながら、壁伝いに歩き出し、エレベーターを見付けて一階まで降りてみる。
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パル(プロフ) - 柴ぬいさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!知らないからこその新鮮さや衝撃などなど、普通だったらこういう反応になるかな？と考えながら書いていたのでこうしてその点に関してのｺﾒﾝﾄ頂けて嬉しく思います！また表現についても感想下さり、こちらこそ本当に有難う御座いました！ (2023年3月14日 18時) (
レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
柴ぬい - めっちゃ最高でした！（全部読みました！）ヒロアカを知らない体での転生ものは初め読み進めている時とても驚きました！また、胸にｽﾝｯと落ちてくる表現の仕方が半端なかったです！素敵で平和な世界線でのお話を読めて幸せです！ありがとうございました！！ (2023年3月14日 16時) (レス) id: c5d3bd3937 (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - ひながきさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!楽しんで頂けるか分かりませんが、楽しんで頂けると幸いです！貧弱綺麗事万歳夢主をよろしくお願いしますww (2022年10月2日 23時) (レス) id: 6636808e83 (このIDを非表示/違反報告)
ひながき(プロフ) - まだ呼んでいないのにコメントをするという奇行をさせていただきます。要注意の【貧弱綺麗事万歳夢主】という語彙が好きです。これから読まさせていただきます、笑 (2022年10月2日 15時) (レス) id: 4bea1154e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年11月11日 23時
