【６１】 ページ12
それを考えた時、何と無くだけど、彼女は僕を今まで拒絶した事は無かった様な気がするとこれまでを振り返る。
出て行けだの何だの……そう言う言葉は聞くけど、彼女は僕が此処に居る事も一緒に居たいと言った事に対しても、一言も迷惑だと突き放す事は無かった様に思う。だからこそ、僕はあやふやなまま此処に居る事を許されていて、その先を望んだ事に対して彼女は理由を問うている。
寂しいから？違う、寂しさは確かにあるのかも知れないけれど、彼女でそれを埋め様とは思っていない。なら、居心地が良いから？気を遣わない相手だから？情けなくても、そんな僕でも幻滅しない彼女だから……？いや、恐らくそれも違うのだろう。
呆れる様な、怒っている様な、何処か哀れんでいる様な、そんな複雑な面持ちで僕を見る彼女を改めて見た時、僕が感じていたもの全てが何であったのか、その感情の名前を自然と理解してしまう。
「あ……」
「なに……？」
「好きなんだ。多分……君の事、好きなんだと思う」
思わず、ﾎﾟﾛｯと口に出した事でそれが明確なものになっていく。頭では無く、心で漸く理解した。部分的な答えを見たところで、結局それが何なのか、分かる筈も無い。それは恐らく、答えを形作る為のピースの一つであって、その一つが完成系では無かったからだ。
驚愕から目を見開き、固まる彼女にその想いを噛み締める様に、自分の一部として受け入れる様に、もう一度言葉を紡ぐ。
「好きだから、君と一緒に居たいんだ」
粗暴で可愛げが無くて、無茶苦茶で。それでも、根は優しくて、何やかんや言いながらも面倒見が良くて、こんな僕に呆れながらも突き放す事も拒絶する事も無くて……
「うん、ごめん。君が好きだよ」
何だか改めて……と言うより、漸く自覚した感情に笑ってしまう。少しばかり恥ずかしさに照れる様な、やっと答えが出た安心感からか、ムードもへったくれも無い告白に本当に自分の駄目さが浮き彫りになる。
「……お前、熱あるんじゃないのか？」
「いや、至って健康体だと思うけど」
「酒でも飲んだ訳……？」
「シラフです」
固まっていた彼女から漸く出て来た言葉は僕の告白を疑うもので、顔を赤くしたりだとか、照れてるとか、残念ながらそんなものは一切無かった。
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パル(プロフ) - 楊離月さん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!楽しんで頂けて良かったです。自分でもミニマムズを結構気に入っていたのでそう言って頂けて嬉しく思います！亀更新ではありますが、今後ともよろしくお願い致します。 (2021年5月16日 20時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
楊離月(プロフ) - 夢主さんとデクのやり取りを見てめっちゃ楽しかった！久々こんな微笑ましい緑谷くんの話読んで大満足です！これからの二人さんが楽しみですね…！みにデクたちマジかわいいすぎこっちにも来てほしい(おい (2021年5月15日 23時) (レス) id: 3422f57d59 (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - Pandaさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います！前作に引き続き今作まで読んで下さって本当に有難う御座います！亀更新になってしまっていますが、どうか今後ともよろしくお願いします！ (2021年3月24日 11時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - わぁああ！！！もう相変わらずの素敵な物語に驚愕しております！！！リアルが忙しくなかなか読みに来れなかったのですが、読んで疲れが一気に飛びました！！この夢主ちゃん(ちゃんと言っていいのか…？)とても好きです！二週目してきます！ (2021年3月24日 7時) (レス) id: 6df71f9a53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2021年2月19日 16時
