【ヒロアカ】Question (ページ39)

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【３８】ページ39

だけど、彼女は僕の問い掛けに対して小馬鹿にした様に鼻で笑うと───…

「収容施設の警備の数に決まってるだろ、マヌケ」
「っ……！？」
「警備の増員、又は手薄になった収容施設があればボクならそこに目星を付ける」

確かに、彼女の見解も可能性としては充分に有り得てしまうものだった。収容施設の警備の増減があれば、そこに収容していると知らせている様なもので、奴が行う無差別殺人が手当り次第と見せ掛ける為だったとしたら……僕達はまんまとプロセルピナの掌の上で踊らされていた事になる。

「まぁ……この敵(ヴィラン)の目的はそれだけじゃないんだろうけど」
「他にも何かあるの……？」
「無差別殺人の発生場所、お前の事務所付近とこの辺りだろ」
「確かに……」
「で、お前の腹の傷は誰にやられた訳？」
「っ、まさか……！！」

彼女の紫の瞳が何処か楽しげに細められ、缶ビールを僕の額に軽くｺﾂﾝ……とぶつけると「無差別殺人はお前を誘き寄せる為の贄ってところだろ」と言う。

「そんでもって、次はボクの勤務先が襲撃対象になるんじゃない？」
「え……何で！？」
「何でって……クズマヌケヒーロー様が何処で死に損なってたと思ってんの？この近辺で夜間に運び込む病院なんて知れてるし」

彼女の推測はどれも理に適っていた。僕達ヒーローの推測はあくまでヒーローの目線で話し合ったに過ぎない。敵連合の構成員の奪還を目的とする片手間に無差別殺人を楽しんでいた。それが僕達の考えだが、その全てに意味があるのだとすれば、彼女の推測に辻褄が合わなくも無い。

「ボクの記憶が正しければ、お前が呑気に人様のベッドを占領して惰眠を貪ってた数日はこの敵(ヴィラン)に動きは無かった筈だ。つまり、その時点で敵(ヴィラン)はお前を殺したって相当浮かれてたんだろ。けど、そんな殺した筈の相手が実は生きてましたって事になれば、どうなると思う？」
「血眼になって探すだろうね……」

正解。と上機嫌に煮物を摘む彼女はこう言っては何だけど、意外と頭がキレる人の様で、あくまで憶測でしかないその仮説に確信の様なものがあると窺える。