【ヒロアカ】Question (ページ32)

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多分だけど、どうやら彼女はこの煮物が大変お気に召したらしい。早く持って来いと催促する様に「ん」と再び皿を突き出され、僕は「はいはい、お持ちします」と皿を受け取り、キッチンへと向かう。

「デク」
「んー？」
「お前、自炊はしてたのか？」
「えっと……そんなにかな？一応、器具は揃えてたけど、外食とかお惣菜とかの方が多くて」

ふーん……と何処かつまらなさそうに言う彼女に「明日も良かったら何か作ろうか？」と尋ねると、彼女はキッチンに居る僕へと視線を向けると「煮物と味噌汁はセットにしろ」とお箸を向けて来る。行儀が悪いと思わなくも無いけど、彼女の言葉が純粋に嬉しかった僕は「うん！分かったよ」と子供の様に浮かれてしまったのだ。

「ねぇ、瀬崎さんは何で看護師になったの？」

煮物を入れた皿を持って戻るついでに問い掛けると、彼女は早速と言わんばかりにそれに箸を伸ばし「ビールに合う！」と多少酔いが回っているのか、笑っていた。

「看護師は成り行きだ。世話になった人が院長してて、看護学校の学費を負担する代わりに病院で働けって感じ」
「奨学金ってやつかな？」
「多分そう。あ、言っとくけど、お前の治療器具やら薬やらの出処はちゃんと病院のやつだからな」
「それ……大丈夫なの？」
「流石に何処ぞのおマヌケヒーロー様とは言ってないけど、怪我人を拾った事は言ってるから問題無い。最終的にうちの病院で診せに来いとは言われたけど」

成程、彼女に医療物品を横流しするのは患者確保の為の目的もあるのか。院長が彼女の知り合いなら特に問題は無いのだろう。医療器具と言っても、彼女が僕に使うそれは市販で手に入れられる物で、薬に関しては際どいのかも知れないが、院長が許可しているのならそれは処方薬になるのか……？

「えっと、その……僕に使ってる薬って市販薬なの？」
「昨日まではな。今日はハゲ……じゃなくて、院長から貰ってきたやつだから傷の治りは早くなると思うけど」

厳密に言えば、処方薬ならば何の問題も無いけれど、そうじゃない市販されていない薬は確かアウトだったと思う。だけど、今回だけは僕のせいでもある訳だし、深くは追及しないでおこうと思ったのだった。