【ヒロアカ】Question (ページ22)

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【２１】ページ22

ヒーローとしてデビューを果たしてからの日々を頭に思い浮かべ、自然とヒーローの仕事が好きなのだと改めて気付かされる。

「んー……まぁ、その。疲れないと言えば嘘になるかも知れないけど、憧れてヒーローになった訳だから、そういう事も含めて充実してると思ってるよ」
「充実ねぇ……」

他人事の様に言う彼女に「瀬崎さんは充実してないの……？」と問い掛けながらゆっくりと身体を起こすと、彼女は「さあ……？」と曖昧に答える。

「少なくとも、ボクが思う充実とは違うって事だけは確かだよ」
「君の思う充実って？」

そう問い掛けた時、彼女は僅かに不機嫌そうに顔を顰め出し、自然と彼女の気に障る様な発言だったと思った矢先、僕の頭に冷えピタの箱が投げ付けられた。

「痛っ！何するの！？」
「煩い、寝室行ってろ！へっぽこヒーロー！」

何がいけなかったのか、何処の部分に対して彼女が怒っているのか、全く理解する事が出来ず、子供の様に「あっち行け！」と言う彼女に軽く額を擦りながら「君、一体幾つだよ……もう」と、溜め息混じりに立ち上がる。

「21ですけどぉ？？」
「同い年じゃないか！！」
「サバ読むなよ、絶対ボクより年下だろ！」
「なっ！君の方こそ、子供っぽいとこあるじゃないか！」
「ハア？大人のレディに向かって失礼なヒーローだな、おい！」
「何処にレディが居るって言うのさ」
「だから、お前の目の前に居るだろ！！」

滅茶苦茶だ！と言えば「どっちがだよ！」と返してくる彼女は、続けて「晩飯はこってり油ギッシュな不健康フライのオンパレードにしてやる！」と最早嫌がらせとしか思えない献立を言うので、つい……

「どうせならカツ丼してよ！」

そう自分の好物を口に出していた。

「何でカツ丼な訳？」
「いや、単純に僕が好きだからだけど……」
「……分かった。下剤盛りにしてやんよ！」
「やめてってば！」

取り敢えず、追い出される形で寝室で休む様に言われた僕は、晩御飯の献立を少しばかり楽しみにしながらベッドに横になった。そして夕食の時間が来ると、美味しそうな僕の好物がテーブルに用意されていた事に、やっぱり彼女は素直じゃないなぁ……なんて思ってしまうのだった。