【ヒロアカ】Question (ページ15)

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【１４】ページ15

敵(ヴィラン)との交戦時に怪我をする事は多々ある。だけど、病院での治療は個性に寄る治癒がメインになりつつあるこの超人社会で、こうした初歩的な治療は些細な怪我の時に用いられる事が多く、それを彼女が割と重傷の僕に施そうとしている事が恐ろしいのだ。

「この野郎……いい加減にしろよ。市民様の貴重な休日をヒーローが潰して良いと思ってんの？？」
「うっ……」
「守るべき市民様のご好意をヒーロー様は無下にすると？ほうほう、ヒーロー様は大変お偉い方の様で、下々の者の善意100%の治療すら拒否なさると？？」

よくもまぁ、こんなにも嫌味ったらしくｽﾗｽﾗと言葉が出てくるな、この人。と思いつつも、そう言われてしまうと何も言い返せなくなってしまい、僕は唸りながらﾎﾞｿｯと「こんな看護師イヤだ……」と呟きつつ、白旗を上げる様に両手を上げたのだった。

「分かったよ……」
「初めから大人しくしとけっての」

ソファーに手招きする彼女に大人しく従い、横腹を庇いながらシャツを脱ごうとするが、動かす度に痛む傷口に苦戦してしまう。そんな僕を見兼ねてか、彼女は「はぁーい、軽く万歳して下さいねぇ～」と患者さんに向ける様な口振りで、それはそれは無遠慮に僕のシャツをぶん取った。

そして、血が滲む包帯を目にして眉を顰めた彼女は「……お前これ、今滲んだやつじゃないだろ」と僕を睨む。

「はい……起き上がる時と着替えた時に」
「はぁ……余計な手間掛けさせるなっての」

そう溜め息を付きながら慣れた手付きで血の滲む包帯を取り、真っ赤に染まったガーゼをピンセットで取り剥がした彼女は「うげっ……」と患部を見て声を漏らした。失礼極まりないけれど、僕も同じ様にｼﾞｭｸｼﾞｭｸになってしまっている傷口に顔を顰めたので、それは聞かなかった事にしようと軽く流す。

「まぁ……消毒して無かったし、こうなるか……」
「え……」

彼女の呟きに思わず顔が引き攣り、そんな僕を睨んだ彼女は「何処の家庭にも消毒液が常備されてるとでも？」と綿球に消毒液を染み込ませ、傷口の周辺から血を拭き取る様に消毒していく。