【ヒロアカ】Question (ページ14)

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【１３】ページ14

―――遅めの朝食を終えた僕達は現在、無言の攻防戦を繰り広げていた。と言うのも、お世話になりっぱなしなるのも流石に悪いと思い、せめて後片付けはさせてほしいと申し出たのだが、食器を運ぼうとした際に身体を変に曲げてしまい、治り掛けてもいない傷口が開いてしまったのである。

痛みに耐えつつ、食器を落とさない様に踏ん張る僕に彼女は傷口が開いたのだと気付いた様で、包帯を変えると言ってくれたのだが、僕にはそれが恐ろしく思えてしまい、思わず拒否してしまったのだ。

「折角買ってやった服、血で汚す気か」

そうキレながら新しい包帯と消毒液を両手に構え、ｼﾞﾘｼﾞﾘと距離を詰めて来る彼女に恐怖しか感じない。何とか洗い場まで食器を運んだのは良いが、先程から何度も傷口が開いていた事と熱があるせいか、本調子では無い僕の身体は正直、ﾌﾗﾌﾗだった。

「はぁ……何が気に入らない訳？何か不都合でもあんの？」
「それは……その」
「何？」
「いや……瀬崎さん、絶対痛くしそうだから……」

そう思った事をそのまま口にすると、彼女は呆れる様に深く溜め息を付き「ガキか」と吐き捨てる。

「自分で出来るから……！」
「あのなぁ、これでも一応看護師なんだけど？そりゃ、大雑把だし、適当だし、何と無く主義者だけど、包帯変えるくらいは出来ますけどぉ？？」
「いや、だって君……僕の枕元に缶ビール置きっぱなしだったし、部屋だってお世辞にも片付いてるとは言えない感じだったし……」

彼女のお陰で一命を取り留めたのだろうけれど、それとこれとは別だ。包帯が巻かれている為、傷口がどうなっているのかは分からないが、彼女の手にある消毒液が硫酸の様に錯覚してしまうのだ。そんな事から、助けられているにも関わらず失礼な事を口走る僕に彼女はｷﾞﾛｯと看護師がして良い目付きじゃない目を向けて来る。

「部屋と治療は関係無いだろ！お前、それでも男か！ぶら下げてるその粗末なもんは飾りか！？」
「なっ……君、女の子だろ！！少しは恥じらいを持ちなよ！」
「ハア？恥じらいもクソもあるか！うら若き乙女の前で全裸晒した変態ヒーローの癖に！」
「うら若き乙女！？何処にそんな人が居るんだよ！」
「目の前に居るだろ！」

ああ言えばこう言うを繰り返し、互いに意地になっている事は承知していたが、それでも此処で折れる訳にはいかないと食い下がる。