【ヒロアカ】Question (ページ13)

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【１２】ページ13

流石に口には出してはいなかったけれど、失礼が過ぎたと反省しつつ、それを決して悟られない様「え……あ、うん。ただ、野菜たっぷりだなぁって」と適当に誤魔化す。すると、彼女は難しそうな表情を浮かべ「食わなきゃ……治らないだろ」とﾎﾞｿｯと呟く。

そんな彼女に「あ……可愛い一面もあるんだ」と意外に思ったのも束の間……

「さっさと食って熱下げて、とっとと帰れ。シッシッ！」

全てを台無しにするには充分過ぎる程に、まるで、気持ち悪いものを追い払う子供の様に顔を顰めて言う。うん、やっぱり彼女は僕が知ってる女の子とは掛け離れているなと、何故か安堵してしまったのだ。

悪態を付きながら鶏粥を食べ始める彼女に倣い、熱々のそれをレンゲで掬い上げ、少し冷ます様に息を吹き掛けてから口にする。すると、子供の頃に風邪を引いた僕にお母さんが作ってくれたお粥の様な、懐かしくも優しい味が口に広がり、久しく会っていなかったお母さんを思い出してしまう。

「美味しい……」
「あっそ」

お袋の味とは少し違ったけれど、身体の内側から暖かくなる様な味に、一人暮らしを初めてから忙しさのあまりお惣菜やコンビニ弁当で食事を済ませていたせいか、手料理の偉大さを改めて痛感する。

「そう言えば名前、聞いても良いかな……？」

既に彼女の名前は知っていたけれど、彼女に馬鹿正直に調査していたなどと言える筈も無く、鶏粥を食べながらそう問い掛けると彼女は少し間を置いてからシンプルに「瀬崎」とだけ名乗った。

「瀬崎さん、色々迷惑掛けちゃってごめん。怪我が治ったら改めてお礼させてほしいんだ」

彼女は恐らく、悪い人では無いのだろう。僕がデクである事も知っている様だし、それに対して媚びる訳でも無くて、過剰に心配する訳でも無い。それが何だか、少しだけ心地良いとさえ思ってしまう。

「ん、高級レストランのフルコースで良いぞ」
「うっ……まぁ、うん。分かったよ」

でも、やっぱり彼女は可愛げが無いと言うか、無遠慮と言うか、うん……兎に角、ある意味良い人なのだろうと思う事にしたのは言うまでも無いだろう。