【ヒロアカ】Question (ページ12)

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【１１】ページ12

「ボクの通勤ルートにお前が落ちてきたのが悪い！！」

そう持っていたお玉を勢い良く僕に向けた彼女。その拍子にお玉に着いていたらしいネギが僕の頬にﾍﾞﾁｬと飛んで来たが、彼女は全く詫び入れた様子も無く「味見だ、感謝しろ」と滅茶苦茶事を平然と言って退ける。

「味見って……」

頬に飛んだネギを取り、そのまま口に入れて溜め息を零せば、彼女は「こっちが溜め息付きたいんだけど！？」と……うん、吠えていた。

「はぁ……もう良いよ。直ぐ出来るからそこで待ってなよ」
「え、もしかして僕の分もあるの……？」

食欲が無いと伝えていた事もそうだけど、てっきり自分用に食事を作っていたと思っていた僕に彼女は眉を顰め「……お前、ボクが怪我人の前で一人で飯食うひとでなしだとでも思ってる訳？？」とジト目を向けて来る。

「いや、そういう訳じゃ……」
「良いから黙って座ってろ！」

吠える彼女に大人しく待つ事にした僕は、彼女が持って来た野菜たっぷりの鶏粥に思わず動揺し、そんなつもりは微塵も無かったけれど、怪しむ様にじーっと凝視してしまう。何故なら、彼女とはイメージが掛け離れ過ぎている優しさ満載のそれに脳の処理が追い付かなかったのだ。

この見るからに優しい味付けがしてありそうな、ほんのり卵の黄色がふっくらと水分を吸い込んだお米と共に色取り取りの野菜を包み込んでいる。そして、それを台無しにしてしまわない様に一口サイズよりも一回り小さくカットされた鶏肉。間違いない、これは口に入れた瞬間に身が解れる美味いやつだ。だけど、これを本当に彼女が作ったのだろうか。

熱を下げる為だったとは言え、怪我人に缶ビールをセットし、服や体温計、冷えピタを手渡すのでは無く、投げ付け、更にはネギを飛ばしておいて感謝しろと吐いた彼女がこれを作っただと……？

そんな命の恩人に対して失礼のオンパレードを脳内で奏でる僕を知ってか知らずか、彼女は「そんなに見なくても食えるっての！！」と叫ぶ。