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【249】夢主side ページ9

昨夜刻まれた歯型に触れ、強く指で押すと僅かに痛みを発するそれに笑みを零す。毎度理由を尋ねるけれど、はぐらかされるそれに、きっとこれは彼の命の証明なのだろうと思う。

彼も私も、言葉が所詮言葉である事を嫌という程に理解している。どんなに愛を紡ぎ合い、誓いを立てたとしても、そんな事で幸せな結末を迎えられる様には出来ていない事を知っている。

だからこそ、形に残すしかないのだ。形に残し、行動で示す他に思い描いた未来へ繋がる道は無い。

彼はきっと、痛みを以てその存在を残したのだろう。肉を噛み切らんばかりに強く喰らい付き、その痛みが刹那のものであったとしても、強く強く刻み付ける。

本当に……彼らしい残し方だ。と、引き出しの白い紙袋を取り出し、それをゴミ箱へと捨て去った。

「……逃げたりしない。目を背けたりなんてしない。立ち止まったりしない」

自分に言い聞かせる様に呟き、今日も今日とて優しい残酷な夢を受け入れる様にベッドへ入る。

背負い続けると決めた。その覚悟は遠の昔に出来ている。どんなに苦しくとも、その痛みから逃げる様な真似はしない。薬に頼る事も、泣き言を吐く事も、全て私が斬り捨てる元の世界に対して不誠実だと分かっているから。

私の大切な人達はこの世界にある。この世界こそが、私の居場所なの。誰にも邪魔なんてさせない。阻むなら退けるまでの事。

来るならいつでも来れば良い。逃げも隠れもしない。真っ向から私はあの世界を否定する。

「私の居場所は、今も昔も変わらないの。勝己君の居る場所……それが唯一無二の私の居るべき場所だから」

例え、そこが残酷で無慈悲な地獄であったとしても、そこに彼が居るのなら喜んでこの身を投じよう。

私の全ては彼の為。私は彼の所有物。彼だけの為に生きて、彼の為に死ねるなら……それ以上の幸福は、きっと世界の何処にも無いと思うの。

だから、私はこの世界を完成させてみせる。思い出深いあの世界を斬り捨てて、彼が生きる世界を求め続けよう。

何度、繰り返す事になったとしても───…

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設定タグ:ヒロアカ , 爆豪勝己 , MHA   
作品ジャンル:恋愛
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもコメント有難う御座います!度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します!応援、本当に有難う御座います!感謝感謝です! (2020年9月13日 12時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます!今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです!!! (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パル | 作成日時:2020年9月5日 23時

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