【２４８】夢主side ページ8
連れ戻そうとするくらいなら、殺しに来たと言われた方がずっとマシだった。許せないと……なぁーちゃんの掲げる正義の名の下に、私の罪を問い、罰せば良い。そこに優しさも哀れみも要らない。憎めば良い、恨めば良い、許さないと憎悪の限りを尽くし、呪い殺せば良かったんだ。
そうすれば……私は、元の世界の脅威として、この世界の守護者として、皆と真っ向から向き合えたのに。
軋む様な痛みが込み上げる。痛みで息をするのもままならず、次第に過呼吸に陥ってしまった私はベッドに倒れ込み、口元を掌で覆いながら浅く呼吸を繰り返す。
過呼吸になるのはこれが初めてじゃないけれど、それでも毎回思う事は、このまま死んでしまうでは無いかという事。過呼吸で亡くなった人は居ないと何処かで見た様な気はするけれど、上手く息が出来無い事が余計に私にそう思わせる。
涙で視界が滲んでいるからか、それともぼんやりとする意識が遠退いているのか、世界が何処か遠くに感じたのだ。
―――どのくらいそうしていたのかは分からない。だけど、いつの間にか過呼吸は治まり、シーツには涙が滲んだせいで、丸くその痕を残していた。
自身を落ち着かせる様に息を深く吐き出し、ゆっくりと酸素を取り込むと、不意に勉強机の引き出しが目に止まる。思わず、眉を顰めながら勉強机に向かった私は、開ける事は無いだろうと鍵を掛けていた引き出しに、鍵を差し込む。
引き出しの中には、無造作に置き捨てた白い紙袋があり、それは何処にでもある、病院で処方された薬が入った白い紙袋だった。その中身は以前、お母さんに付き添われて受診した心療内科から処方された精神安定剤で、毎晩服用する様に言われていたが、一度も飲んだ試しは無い。
入寮してからと言うもの、彼の部屋で寝起きしていた事もあって、悪夢に魘される事無く良質な睡眠を摂る事が出来ていた。だけど、なぁーちゃんとの一件があった日から、彼が傍に居ても悪夢を見る様になってしまったのだ。
毎晩の様に夜泣きをする私に、彼は毎度優しく受け入れてくれた。怒りもせず、深く理由を問い質す事も無い。その代わりという訳じゃないと思うけれど、彼は私が泣く度に私の首筋に噛み付き、歯型を残す。
一種の存在証明の様なその行為を嬉しく思う反面、やはり痛いものは痛いので、毎度彼にしがみつき、彼の背に爪痕を刻んでしまう。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
