【２８３】side無し ページ43
攻撃こそ最大の防御である。と、彼女は失わない為にその手に武器を持った。そうして重ねた過去があり、迷う事の無い誓いにも似た信念を貫き通していたのだ。
元から強かった訳では無い。今も自分は強くなど無い。そう、彼女が涙を流しながら拳を握り締めた時、ｺﾝｺﾝｯと控えめなノック音が室内に静かに響いた。
反射的にﾋﾞｸｯ……！と身体を強ばらせる彼女は、部屋の外から聞こえて来た「Aさん、私ですわ」と言う八百万の声に軽く涙を拭い、おずおずとドアを開けに向かう。
何も言わずにドアを僅かに開けた彼女は隙間から手を伸ばし、八百万の服を軽く掴むと、部屋の中に引き込み、直ぐにドアを閉めた。
「Aさん……？」
「私……サーが死ぬ事、分かってたの」
「っ……！」
まるで、懺悔の様に告白する彼女に八百万は彼女が部屋に篭っていた理由を察し、未だ室内を照らすテレビに僅かに眉を顰め、彼女を抱き締める。
彼女は夕食を終えると、いつもなら爆豪と共に過ごしていたのだが、談話スペースに設置されたテレビがサー・ナイトアイの訃報を伝え、適当に誤魔化し、自室へ逃げ込んで居たのだ。
体調が優れないのかも知れないと、彼女の様子を見にやって来た八百万は、震える彼女の身体にただただ悲しさを覚える。
彼女はこのままこの世界に居て良いのだろうか。このまま、彼女がこの世界に留まり続ければ、いずれ彼女が壊れてしまうのでは無いか。そんな不安が八百万の身の内に渦巻き始める。
彼女の全ては爆豪を生かす事、自分を含めたクラス全員で無事に卒業を迎える事である事。それ等を理解している八百万だったが、そこに彼女だけが負う事になる苦痛があって良い筈は無いと、強く強く彼女を抱き締めた。
視界に入る彼女の部屋の至る所に飾られているクラスメートを模したぬいぐるみ達。それが手作りある事は明白であり、八百万はこんなにも自分達を大切に思い、未来に繋げ様と必死な彼女にこの仕打ちはあんまりだと悔しさを募らせる。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
