【２８１】side無し ページ41
明かりの灯らない部屋の中、テレビだけがﾁｶﾁｶと室内を照らし、とあるヒーローの訃報を彼女へ突き付ける。サー・ナイトアイ、かつて平和の象徴であったオールマイトのサイドキックとして社会に貢献し、独立後も彼の功績は目覚しいものだった。
報道される彼の死を、心此処に在らずといった様子で眺める彼女は「……救う気なんて、無かった癖に」と自嘲する様に笑みを零し、抱き抱えている爆豪を模したぬいぐるみに顔を埋める。
元の世界では、彼女はリューキュウの下でインターン活動に取り組み、死穢八斎會潜入捜査に加わっていたのだ。その際、最優先救助対象であるエリという少女を逸早く確保する為、通形ミリオと共に最前線へ向かい、事の全てをその目にしていた。
あの時もそうだった。と、彼女は過去を悔いる様に振り返る。あの時、自分がもっと個性を上手く使いこなせていれば、通形も個性を失わずに済んでいた。少女の救助も簡単に出来ていた。大切な幼馴染みに無茶を強いる事も、サー・ナイトアイを死なせる事も無かったのに……と、涙を流す。
無論、当時の彼女が手を抜いていた訳では無い。彼女にとって、全てが初めての出来事であり、その結末がどんなものになるのか知る由も無く、彼女は全てが終わると、自分を責めた。
当時の彼女は個性をサポートとしての運用に徹しており、今の彼女の様に武器を持って戦うという事は無かったのである。
震える身体にそんな資格は自分には無いと叱咤する様に、組み合わせた手の甲に爪をｷﾞﾘｯ……と立てる。全てを救う事など、自分には出来やしない。自分は万能でも無ければ、個性が無ければ無能だと自身を虐げる。
全てを守りたい、誰も失いたくは無い、誰にも死んでほしくなんて無い。そう思いながらも、内心では彼女も理解していた。それは身の丈に合わない願いであると。それは、傲慢以外の何物でも無いという事を。
だからこそ、彼女は斬り捨てた。サー・ナイトアイの死の運命を知りながら、それを静観し、有事の時に緑谷や麗日、蛙吹や切島を助けられる様に誰にも気付かれない場所で、例の事件の一部始終を眺めていたのだ。
「最低だ……私。勝己君の、言う通りだ……っ」
涙塗れのその顔を上げると、部屋の至る所に飾られたクラスメート達を模したぬいぐるみに視線を向ける。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
