【２４５】side無し ページ5
No.10の登場に自然と周囲の目は集まり、ギャングオルカを含めたヒーロー達に頭をﾍﾟｺｯと下げた彼女は「ギャングオルカ！」と駆け寄るとへにゃりと緩み切った笑みを浮かべ、ポケットに仕舞い込んでいた免許証を取り、それをギャングオルカを見せ付ける。
明らかに懐いているその様子に、密かに「俺とはえらい違いだな」とボヤく相澤。その呟きを耳にしていた爆豪は何とも言えない顔をしつつ、先にバスへと乗り込んで行く。
「満点は取れなかったですけど、無事に合格は出来ました」
「ﾌｯ……お前の事だ、そのマイペースさが仇になったのではないか？」
「うぅ、仰る通りです」
短期間であったとは言え、職場体験期間の一週間、彼女と現場で行動を共にしていたギャングオルカには、彼女の減点項目がどの様なものであるかを察していた様で「言った筈だ。制圧であっても救助であっても、迅速に対応しろと」と説教モードに入る。
「耳が痛いです」
「私情で動くなど言語道断だ！！」
「うぅ、はい……」
「だが、まぁ……何はともあれ、合格は合格だ」
良くやった。と彼女の頭に手を乗せたギャングオルカは僅かに照れ臭そうにする彼女に「時枝、職場体験の初日に俺が問うた事を覚えているか」と問い掛ける。
数秒思い出す様にじっとギャングオルカを見上げた彼女は、自然とそこにある眼差しが優しさを帯びている事に気付き、穏やかに微笑むと「勿論、覚えています」と言う。
「何の為にヒーローを目指すのか、でしたね」
「ああ。その志は今も揺るぐ事無くお前の中にあるのか、否か。それを確認しに来た」
ギャングオルカの言葉が彼女へ重く伸し掛る。元の世界の刺客が来た事により、彼女の中に確かに存在していたヒーローになりたいという思いは次第に薄れ、今は何よりも最優先である、この世界を壊させない事に必死に頭を悩ませていたのだ。
それ故に彼女は、彼女自身の望みを相澤に告げられるまで、答える事が出来無かった。確かに望んでいた筈の夢を、かつて掴んだものの実る事の無かったその望みを、彼女は今度こそ揺るぐ事無くこの世界で叶えてみせると、力強い眼光をギャングオルカへ向ける。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
