【２６９】八百万side ページ29
ただ、知りたかった。彼女が何を考え、何に悩み、何に涙を流すのか。彼女の力になりたい、彼女には笑って過ごしていてほしい。そんな願いが彼女に救われた時から今も尚、強く息衝いている。
発想の転換。彼女に関する全ての見方を変えた時、強引な結論が導き出された。現実的な理屈を並べ、それに沿う様な思考を全て捨て去り、無茶苦茶な可能性ばかりを考えて、こじつけにも似た結果に溜め息を付く。
知っているという事だけが、先読み、予知だけとは限らない。そこには経験も含まれる。仮に経験だったのだとすれば、彼女が襲撃を予期していた事も、現在に至るまでの私達の関係が稀薄にも関わらず、私達を大事に想う理由に繋がるのではないか。
ノートにびっしりと書き込み、一つ一つ整理しては可能性を潰し、凡百面で辻褄が合う仮説を立て続ける。
彼女の個性は転移なのか、否か。それについても、支離滅裂な可能性を上げては、これは違う、辻褄が合わない、可笑しい……と、試行錯誤を重ね、存在するのかも疑わしい個性を勝手に生み出し、継ぎ接ぎだらけの結論に「そんな事、ある訳がありませんのに」と自嘲を浮かべた。
彼女の個性が時間に干渉出来るものであり、未来からやって来た彼女が過去を変え様としているなど、暴論が過ぎると、そんな考えに至ってしまった自身に呆れさえ生まれてくる。
だけど、それが当たらずとも遠からずだったのではないかと、未来からやって来た緑谷さん達が彼女へ向ける意味深な眼差しに、そう思えてならなかった。
緑谷さん達が彼女へ向ける視線には、心配と悲しさ、そして何処か後ろめたさが入り交じっていて、複雑なそれ等を身の内に押し込める姿が、痛々しく私の目に映し出される。
私達に勘付かれない様に気を付けていた様だけれど、彼女自身も何処かよそよそしくて……緑谷さん達と彼女の間には、壁の様なものがあった様に思ってしまう。
彼女は何者なのだろう。未来からやって来たと仮定しても、その目的は……？何故、彼女は過去の世界である今に滞在しているの？
それ等を考えた時、自然と未来でそうせざるを得無い何かが起きてしまったのだと察した。個性事故では無く、故意にやって来たのなら、そこには必ず理由がある筈だと。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
