【２６７】緑谷(成人)side ページ27
二人が何を話しているのか、僕達には分からない。だけど、これだけは断言出来る。風間さんは彼女の逆鱗に触れてしまったのだと。世界よりもたった一人の人間を選び取った彼女の、憎悪の全てがその身に降り掛かる様な何かに、この男が触れてしまったのだろうと。
「何度も繰り返し、この目で見た。夥しく地面に広がる彼の鮮血を、彼のお腹に空いた空洞を、そして……倒れる彼を嘲笑うアナタの姿も、瞼にこびり付くくらいハッキリと……」
「え……？」
誰の声だったのかも分からない。だけど、風間さん以外の人間が零した困惑に満ちた声に、彼女が放つこの尋常では無い程に膨らみ上がった憎悪が何を切っ掛けに生まれたものであるのか、この場の全員が理解した。
かっちゃんは敵(ヴィラン)に殺されたのだと、元の世界の誰もがそう思っていただろう。その犯人と思われる敵(ヴィラン)も既に捕まり、今は獄中で過ごしていて、あの事件は終わったのだと……誰もが何の疑いも持たずに思っていたのに……ｯ。
「時枝、爆豪を殺った奴って……そいつか」
拳を強く握り締めるあまり、掌に爪が食い込んで血を流しながらも風間さんを睨み付けている切島君は、彼に似合わない底冷えする様な低い声で静かに彼女に問い掛ける。
切島君で無くとも憤りを覚えて当然だ。かっちゃんの死をどれだけの人が悲しみ、惜しんだ事か。かっちゃんの死を切っ掛けに彼女が暴走した。そう元の世界ではなっていたけれど、それは違ったのだと、今ならよく分かる。
「そうだけど……手は出さないでほしいな。嬲り殺すのは、私の役目だから」
彼女がそう告げた次の瞬間、風間さんの腕の関節が真逆を向いていて、何が起こったのかも理解する間も無く、風間さんは痛みに絶叫する。
「がああっ！！」
「その個性、使われるの……嫌だな」
淡々と光の無い瞳で呟く彼女は、もう片方の腕も同じ様に一瞬で真逆へとへし折ると、大鎌を「よいっ、しょっと！」と楽しそうに振り被り、その切先を風間さんの腹部へと容赦無く捩じ込んだ。
「ぐっ……！！」
「刃は、付けてないの。だから……簡単に死ねるだなんて、思わないでほしいな……ほしいです」
堪らず胃の中ものを吐き出す風間さんを冷たく見下ろす彼女は「汚いなぁ……」と、地面に這い蹲る彼に容赦無く大鎌を振り被り出す。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
