【263】夢主side ページ23
お茶子ちゃん達を排除しようとしていた自分の愚かしさが浮き彫りになっていく。 自分自身がそれを招いた癖に、大好きだった人達にその選択を選ばせてしまった事への罪意識がズブリ……と、私に突き刺さる。
虫が良いのも許してほしいのも、全部……私の方だ。私が齎した世界の終焉、私の願いが生み出したこの世界、私の身勝手な行いのせいで大好きだった人達が傷を負う。
何をどう贖えば許されるのだろう。私に全てを委ねると言ってくれたお茶子ちゃん達に、どうすれば報いる事が出来るのだろう。
「……本当に、その選択に迷いは無いの」
この世界が完成すれば、否が応でも元の世界は消える。そうで無くとも、この世界が完成するまで元の世界の時間は停止したまま時を刻む事は無い。
「向こうには、お茶子ちゃんの家族や……他の皆だって、居るんだよ……?」
改めてそれを言葉にした時、私の声は情けなく震えを帯びていた。世界と彼を秤に掛け、彼を選んだ私にそんな言葉を吐く資格などありはしないのに。
「それでも、私に委ねるの……?ウラビティ」
敢えてお茶子ちゃんをヒーロー名で呼ぶと、お茶子ちゃんは切なげに顔を歪ませると、私を抱き締める。
「ヒーローとして、この選択はしちゃいけない事なんやと思う。でも、ヒーローやからこそ、政府がした事やこれからしようとしてる事を見逃す事も受け入れる事も出来へん」
「それが、元の世界の救いになるとしても……?」
「……うん。政府のやり方で世界を救ったとしても、きっと私達は後悔すると思う。Aちゃんを犠牲して、救われた世界なんて……私は嫌や」
お茶子ちゃんは私を離すと、空いた片腕で涙をゴシゴシと拭い「私達、Aちゃんが大好きなんよ」と赤くなってしまった瞳で笑う。
「だから……この世界が、間違った私達の世界とは違う未来を辿ってくれると信じてる。Aちゃんがそれを望んでくれるなら、後悔なんてしやんよ」
何処か晴れやかな顔をするお茶子ちゃんに、それ以上何も言う事が出来無かった。あまりにも切実で、あまりにも優しくて、あまりにも真っ直ぐなお茶子ちゃんの言葉に胸が一杯になる。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもコメント有難う御座います!度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します!応援、本当に有難う御座います!感謝感謝です! (2020年9月13日 12時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます!今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです!!! (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パル | 作成日時:2020年9月5日 23時