【２６１】夢主side ページ21
敵(ヴィラン)か、或いは単なる揉め事か。どちらにしても向こうから何のアクションも無ければ、私が彼等の居場所を特定する事は難しい。それならば、人が集まりそうな場所へと姿を晒した方が手っ取り早いだろう。
直ぐ様時間を停止させ、物音が響いて来た方向へと向かうと、そこは今は使われていないゴミの廃棄場だった。不法投棄されている大型の家電などが溢れ返るその場所の奥へと足を踏み入れ、そこに居た人達の構図に僅かに困惑してしまう。
明らかに戦闘中の様ななぁーちゃん達と対峙するスーツに身を包んだ人達。その中の一人が、今まさにお茶子ちゃんの腹部に見覚えのあり過ぎる個性を放とうとしていて、私の頭に彼が殺された日の出来事が走馬灯の様に駆け巡った。
ﾄﾞｸｯ……と、一際鈍い鼓動を皮切りに、捲し立てる様に波打つ心臓。
脳裏に過ぎる、血の海とそれを作り出した彼の最期。虚ろに影る瞳で意識が途切れるその間際まで眼前にそれを齎した相手を捉えていた。
「っ……」
私はあの男を知っている。あの男の個性を知っている。あの男が何をしたのか、私から何を奪ったのか、その全てを嫌という程に何度もこの目で見て来たのだから。
「ｯ……また、アナタは……私から大切な人を、奪おうというの」
沸々と込み上げてくる憎悪を奥歯を噛み締め何とか抑え込み、その男から遠ざける様にお茶子ちゃんの腕を掴む。
このまま時間を動かせば、確実にお茶子ちゃんの腹部に風穴が開けられてしまう。あの時の彼の様に……夥しい血の海を作り出すに違いない。それだけは、何としてでも阻止しなくてはならない。
もう二度と、あの男に私の大切な人を奪わせさせやしない……ｯ!!
「え……Aちゃん！？」
お茶子ちゃんの手を素手で掴んだ事により、停止した時間の中で自由に動けるお茶子ちゃんは、突如現れた私に酷く驚いていた。
「手を離すと……お茶子ちゃん、死んじゃうよ」
「っ……！？」
私の言葉にお茶子ちゃんは周囲を見渡し、私が個性を使っているのだと気付くと、腹部に宛てがわれているあの男の風玉に顔を引き攣らせる。そんなお茶子ちゃんの腕を引いて風玉の軌道上から逃れると、お茶子ちゃんは気まづそうに私に視線を寄越してくる。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
