【257】side無し ページ17
爆豪からオールマイトの伝言を受け取った彼女は指定された場所へと赴き、既に噴水広場の前で立っているオールマイトの名を何処か物悲しそうに呼ぶ。
オールマイトはそんな彼女に優しく微笑むと「やあ、時枝少女。急に呼び出してすまないね」と噴水の縁に腰を下ろし、促す様に自分の隣を軽く叩く。
彼女は数秒オールマイトを見詰めると、諦めた様にフッ……と笑みを零し、腰を下ろす。彼女のその様子に何処か安堵するオールマイトは徐に話を切り出した。
「爆豪少年から話は聞いたよ。何も君が気に病む事は無いんだ。私の事にしても、それ以外の事にしてもそうだ。それは君が本来背負うべきものではないのだから」
嗚呼……やっぱり。とオールマイトの話の内容をある程度は予想していた様で、彼女は小さく肩を竦ませて笑うと、何処か遠く遥か彼方を見詰めながら「割り切る事が出来るのなら、私もそうしたかった」と静かに吐き出す。
「仕方が無い、こうするしか無かった、これが最善で、最良の選択なんだって……いつも、そんな言い訳ばかりが募るの。もっと他に道はあったのかも知れないのに」
自嘲する様に笑う彼女にオールマイトは「私のこれは時間の問題だった」と暗に彼女の選択の結果では無いと告げる。
「遅かれ早かれ、彼に力を譲渡した時からこうなる事は分かっていたさ。この際、君だから話すが、私のサイドキックだった男にも忠告は受けていたんだよ」
「サー・ナイトアイ、ですね」
「知っていたか」
懐かしむ様に目を伏せる彼女は、近々訪れる……いや、既に始まりを見せているインターンでの出来事を思い出しながら「お世話になりましたから」と何処か淋しげに零した。
「オールマイト、私は……皆や彼に関する事柄以外、きっと静観する事しか出来無いと思います。この先もずっと……この世界が、私の手から巣立つ時まで」
まるで、許してほしいと詫びるかの様に告げられる言葉に、オールマイトは「ああ、誰も時枝少女を責めはしないさ」と軽く彼女の肩に手を乗せる。
「そうだと、良いな」
そう儚げに泣きそうな笑みを浮かべた彼女は、立ち上がると「あ、これだけは伝えておこうと思います」と振り返った。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもコメント有難う御座います!度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します!応援、本当に有難う御座います!感謝感謝です! (2020年9月13日 12時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます!今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです!!! (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パル | 作成日時:2020年9月5日 23時