【２５６】 ページ16
オールマイトは「そうしたいのは山々だが、大事にすれば、それだけ政府に勘付かれるリスクを負う事になってしまう」と継げる。
「それは時枝少女が何よりも拒む展開だ。それを避けるには、内密に事を運ばなければならない。それは爆豪少年も分かるだろう？」
彼奴が最も恐れるシナリオは二つ。政府に事が知られ、元の世界と似た様な結末を辿る事と、クラス連中の誰かが死ぬ事。後者に関しては彼奴が何が何でも全力で阻止するだろうが、前者は選択を間違えればいつ何時訪れても可笑しくはねぇもんだ。
「……現状、オールマイト達はどう考えとんだ。襲撃のリスクは常にあり、彼奴が狙われてる事には変わりねぇ。加えて、向こうが彼奴を狙い続ける期間は五年以上ある。卒業した後でもこの世界の完成まで三年は掛かる」
「勿論、それは重々承知しているさ。ただ、事が事なだけに慎重に動かなくてはならないのも事実。爆豪少年、我々も可能な限りは尽くすつもりだよ。勿論、世界の存亡が懸かっているからというのもあるが、それ以前に時枝少女は我々の守り導く対象である生徒だ」
無論、君も含めてね。と茶目っ気のある笑みを浮かべるオールマイトに、後ろめたさから目を逸らしてしまう。それを勝手に照れだと思っているのか、オールマイトは優しげに目尻を下げると……
「爆豪少年、時間は掛かってしまうが、どうか我々を信じてほしい。時枝少女の今までを決して無駄にする事が無い様に誠心誠意努めさせてもらうつもりだ」
と言う。だが、俺は目の前の憧れを欺こうとしている。オールマイトが示そうとしている誠心誠意に対して、身勝手な私情に塗れた願いを通そうとしているのだ。
この世界を裏切り、心底惚れた女さえ裏切る。その結果、得るものよりも失うものが多い事は十二分に理解しているつもりではあるが、それでも俺は、これ以上彼奴が何も失う事が無い様にと、その選択を迷う事はしない。
「さて、そろそろ君も寮に戻った方が良い。あ、時枝少女に噴水広場の所に来てほしいとだけ伝言を頼めるかな？」
「……分かった」
その後、給湯室を後にした俺は帰寮し、談話スペースで俺を待っていたであろう彼奴にオールマイトからの伝言を伝えたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
