【２５９】side無し ページ19
それは、かつての自分の様だとオールマイトは感じたのだ。いつか必ず訪れる世界の終焉。それは、元の世界の終わりか、或いはこの世界の終わりか。どちらにせよ、彼女は最後まで振り上げた拳を下ろす事はしないのだろう。
世界と最愛の人を秤に掛け、彼の命を未来へ繋げようとする。その悲願が成就されるまで、彼女はこの大舞台から降りる事も出来はしない。
彼女が降りるという事は、この世界の消滅と爆豪の命を諦める事に繋がるのだから。
「……私は願うよ、時枝少女」
茜色に染る空を見上げたオールマイトは、切望にも似た思いを言の葉に乗せる。
「一人の少女として、君が幸せである未来が来る事を、願い続ける」
多くを一人で背負い、多くを失い、それでも尚、折れずにこの世界に立ち続ける彼女に、オールマイトは敬意を払う様に彼女が去って行った方へ頭を垂れるのだった。
―――ハイツアライアンス。
帰寮した彼女は、そのまま真っ直ぐと爆豪の部屋へと向かい、彼の部屋をノックする。そして、静かに開かれたドアから顔を出した爆豪は、彼女の何処か晴れやかな表情に自然と笑みが零れる。
釣られる様に笑みを零した彼女は「えいっ」と可愛らしく彼へと抱き着くと「好き、大好き」と犬が尻尾を振る様にｸﾞﾘｸﾞﾘと彼の肩口に顔を擦り付け出す。
それを黙って受け入れた爆豪は、そのまま彼女の頭に腕を回し、抱き竦めると「ンなもん、とっくに知っとるわ」といつもの様に勝気な笑みを浮かべたのだ。
その言葉に舞い上がる彼女はこれでもかと言う程、更に顔を擦り付け出し、何度も何度も好きだの大好きだのと伝え続けていると……
「ｺﾞﾎﾝｯ!!」
「「っ！？」」
いつからそうしていたのか、切島の部屋のドアから切島、上鳴、瀬呂、そして自室から顔を覗かせていた障子が抱き合う二人を眺めており、彼等がわざとらしく咳払いをした事でその存在に気付いた二人。
「その、すまん。覗き見するつもりは無かったんだが、声がしたので……つい」
「謝るくれぇならさっさと引っ込めやっ！！」
「照れんなって！な？勝己君？？」
「おい、切島、しょうゆ顔。そのアホ面押さえてろ。今直ぐ木っ端微塵に爆破してゴミにしたらァ！！」
甘い雰囲気から一変、上鳴の命を懸けた究極の鬼ごっこが開始され、上鳴を追っ掛け回す爆豪を楽しげに眺める彼女は「ﾌﾌｯ、勝己君、楽しそう」と何処か満足気に微笑むのだった。
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パル(プロフ) - Pandaさん» 前回に引き続き、今回でもｺﾒﾝﾄ有難う御座います！度々更新が遅れてしまうかも知れませんが頑張って更新します！応援、本当に有難う御座います！感謝感謝です！ (2020年9月13日 12時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
Panda - 続編おめでとうございます！今後も応援してます!続きがめっっっっっちゃ楽しみです！！！ (2020年9月13日 11時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年9月5日 23時
