【５６】 ページ7
これも奇妙な話ではあるが、腹が立つ反面、心地良さなんてものを感じている俺はいつの間にか此奴に絆されていた様で、そんな自分に気付きながらも此奴の手を離そうとは思えなかった。
「キメェ……」
金髪女へと向けた言葉なのか、それとも絆された自分に対して出た言葉なのか。結局、ﾍﾗﾍﾗと笑う此奴にはその言葉も照れ隠しに入る様で「ﾌﾌｯ、やっぱり爆豪君は照れ屋さんだよ」等と抜かしやがる。
「ところで爆豪君」
「あ？」
「そろそろ連絡先を教えてくれると嬉しいな」
そう言う金髪女にいつもなら即刻拒否するところが、此奴のあれこれを考えると以前とは違い、多少なりとも教えてやっても良いとさえ思えて来る。
何も言わずに金髪女に視線を寄越せば、金髪女はｷﾗｷﾗと期待の眼差しを向けていて、条件反射と言えば良いのか、思わず眉を顰めてしまう。
「……携帯寄越せ」
「教えてくれるの！？」
ぱあっと目を輝かせる金髪女に「さっさと貸せや」と言えば、金髪女はｸﾞｲｯと押し付ける様に携帯を寄越す。以前と変わらず、俺のガキの頃の写真がホーム画面に設定されたままの携帯をこのまま爆破してやろうかと思った事は言うまでも無いだろう。
繋ぐ俺の手を犬の尻尾みてぇにﾌﾞﾝﾌﾞﾝと振る金髪女を軽く鬱陶しく思いながらも、その幸せそうに笑う姿に何故か懐かしさが込み上げて来る。
此処とは違う別の場所で、俺は此奴と今とは違う別の関係を築いていた。過去、現在、そして先日脳裏に過ぎった未来の光景。そのどれもが身に覚えの無い出来事の筈だが、感情はそれに沿う様に毎度俺に襲い掛かる。
「……黒塗りの車がいつかテメェを母親から引き離すっつったらどうする」
何かを期待した訳じゃねぇ。どうせ、此奴にそれを伝えたところで此奴には何の事だが分からない話だ。ただ、何と無く……それだけの理由で此奴の携帯に自分の連絡先を追加しながら問い掛けた。
追加された俺の連絡先に適当に文字を送信し、金髪女に携帯を返そうと画面から顔を上げた時、そこにある凍り付いた金髪女の表情に息を呑む。
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パル(プロフ) - 一寸先はダークさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!凄いだなんてとんでもないです (汗)はい！頑張ります！今後ともよろしくお願い致します！！有難う御座いました！ (2020年3月24日 13時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - 何か、凄いですね！個性が何か分からんなぁ、何となく推測はして多分こうじゃないかな？みたいな所まではいったんですけど、まだまだ分かりませんね！これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 94fd455da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年3月17日 8時
