【９２】夢主side ページ43
本当の事を話せば、彼は私をどう思うだろう。馬鹿だと怒るのかも知れない。軽蔑されるかも知れない。もしかしたら……褒めてくれるのかも知れない。
……いや、彼はきっと褒めてはくれないだろう。私の行いはとても身勝手なものだから……きっと、嫌われてしまうのかも知れない。
それでも、ズタボロになったこの心は彼に嫌われても構わないと私の足を無理矢理動かす。もう止まらない、止められやしない。
何がいけなかったのかを考える時間は遠の昔に過ぎ去った。誰かを憎む事も止められなかった。恨んで、滅茶苦茶にしてやりたいと憎悪に呑まれた事もあった。それが行き着く先に私の望んだものは何一つ無かったけれど、それが無駄だったとは思わない。
この世界はとても不自由だ。そこに生きる矮小な私達に出来る事はとても少ない。社会の荒波が私を殺した様に、世界が私の大切な人達を奪っていくのだから。
「勝己君、これだけは伝えておこうと思うの」
私が行った事の不始末は私自身がどうにかしなければいけないと分かってる。だからこそ、余計に足を止める訳にはいかないの。
視線だけを寄越し、私の言葉を待つ彼に安心させる様に笑い掛けながら「あの黒い車に私が乗る事は無いよ、絶対」と告げる。
あの日、勝己君が私の家に訪れた理由は多分、それだと思う。良かれと思ってギャングオルカが私の知名度を広めてくれたのだろうけど、それが部分的にしか思い出せていない勝己君の不安を煽ってしまった。
あの頃の勝己君にそれを確認する事は出来無かったけれど、こうして今の勝己君が影響されてしまう程には相当なトラウマになっていたのかも知れない。
眉を顰め、繋いだ手に僅かに力を込める勝己君は「本当だろうな」と真っ直ぐと私を見る。その赤い瞳の奥底に僅かに揺らめく不安。それを取り除く様に彼の手を両手で包み込み、笑う。
「うん、約束する。もし、あの黒い車が来たら、勝己君が爆破すれば良いと思うの」
「俺かよ」
「流石に私の個性で爆破は出来無いから。あ、でも、勝己君の篭手があれば出来るかも……って、いたっ」
真剣に考える私の額をﾊﾟｼｯと軽く指で弾いた勝己君は「……やっぱ、俺がやる」と静かに告げる。その言葉に思わず目を見開くと、彼は笑っていた。
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パル(プロフ) - 一寸先はダークさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!凄いだなんてとんでもないです (汗)はい！頑張ります！今後ともよろしくお願い致します！！有難う御座いました！ (2020年3月24日 13時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - 何か、凄いですね！個性が何か分からんなぁ、何となく推測はして多分こうじゃないかな？みたいな所まではいったんですけど、まだまだ分かりませんね！これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 94fd455da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年3月17日 8時
