【７４】ギャングオルカside ページ25
期待は名誉にも繋がる自身の金では買う事の出来無い財産だ。雄英出身というブランドもステータスに繋がるもの。それを活かす術を今の段階から考えさせるのもこの職場体験での学びとなるだろう。
「時枝……いや、クロックドール。お前に一つ問う。何の為にヒーローを目指さんとする？」
実力は申し分無い。守るという事に関しても、この大鎌が時枝の意志の表れであるのならば、俺から言う事は何も無い。だが、ヒーロー科である事の責務をどう捉えているのか、奴が目指すヒーローとは何なのか。それを聞いておかねばならないと思ったのだ。
「……失わない為、守り通す為、誰も死なせない為、奪わせない為、壊させない為。きっと挙げればキリが無いと思います」
そう儚げに微笑む時枝は「でも、強いて言うのなら」と両手を胸に当て、目を伏せる。
「未来を掴む為。それだけの為なのかも知れません」
ゆっくりと瞼を開いた時枝の赤い瞳の奥底には揺るぎの無い信念が宿っていた。静かに燃え続ける途方も無い願いの様に紡がれた言葉にはそれ以上の重みが宿る。
ヒーロー志望とは言えど、これ程迄に先を見据えて物を言う子供がこの世界の何処に居るだろうか。ただ、強くなりたい、ヒーローになりたい、人々を守る存在になりたい。そんな言葉は聞き飽きる程に耳にしてきたが、時枝の言葉の本質はそこでは無い。
強くなる事もヒーローになる事も人々を守る事も、全ては前提。成し遂げて当然のものとして捉えている。奴の言葉はそのずっと遥か先を見据えていたのだ。
「ﾌｯ……ならば、俺の全てをお前に叩き込んでやろう。但し、根を上げる事は許さん。その覚悟に迷いが無いと言うのならついて来い、クロックドールｯ!!」
嗚呼、一週間だけとは実に惜しい。毎年訪れるヒーロー候補生にそう思う事など今まで無かったが、こうも将来を期待せざるを得無い金の卵を前に、自分の手で育てる事が出来無いのは残念だ。
「望むところです、ギャングオルカ」
嬉しそうに微笑む奴をこの後、パトロールに連れ出し、サイドキックを余所に敵(ヴィラン)共を二人で蹴散らしたのだった。
「シャチョー！やり過ぎっす！！」
「クロックドール！まだやれるな？」
「勿論です」
「ならば、次だ！」
「シャチョー！！！！」
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パル(プロフ) - 一寸先はダークさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!凄いだなんてとんでもないです (汗)はい！頑張ります！今後ともよろしくお願い致します！！有難う御座いました！ (2020年3月24日 13時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - 何か、凄いですね！個性が何か分からんなぁ、何となく推測はして多分こうじゃないかな？みたいな所まではいったんですけど、まだまだ分かりませんね！これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 94fd455da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2020年3月17日 8時
