【６９】side無し ページ20
シャチという個性を有する為か、その風貌は鯱を人型に寄せたもので、圧を掛ける様に鋭く彼女へと向けられる視線に彼女は全く動じる事も無く、平然と笑みを浮かべ「雄英高校一年A組、時枝Aです。ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げる。
そんな彼女にギャングオルカの周りに控えていたサイドキック数名は僅かに驚いたという。何故なら、毎年ヒーロー候補生を職場体験やインターンで迎えていたが、ギャングオルカの洗礼とも言える眼光を浴びても尚動じない候補生は一人も居なかったからだ。
可愛らしい見た目とは裏腹に中々の胆力を持ち合わせている彼女にｸﾂｸﾂと喉仏を揺らし、低音を響かせる様に笑うギャングオルカは「ヒーロー科でありながら体育祭を手抜きで終わらせた前代未聞の雄英生」と椅子から立ち上がり、彼女の眼前まで歩みを進める。
「どんなものかと思えば、中々に面白い」
「ﾌﾌｯ、お褒めに預かり光栄です」
「調子に乗るなよ、時枝。俺がお前を指名した理由はただ一つ。その緩み切った根性を骨の髄まで叩き直す事だ。初日だからと言って甘やかすつもりは毛頭無い」
鋭く見下ろすギャングオルカの眼を真っ向から見詰め返す彼女は「はい」と元よりそのつもりで居るのか、受け入れる様に微笑む。
「ほう……良い度胸だ。なら、さっさとコスチュームに着替えて来い。敵(ヴィラン)共の駆除は明日から参加させるが、その前に今日はうちのサイドキックと手合わせしてもらおうか」
「分かりました」
控えていたサイドキックと共に社長室から出た彼女はこの職場体験の期間である一週間寝泊まりする部屋に案内され、直ぐにコスチュームに着替え、演習場へと向かう。
「ヒーロー名は決まってるのか？」
「はい。クロックドールといいます」
「へぇ、苗字からか？」
「そんな感じです」
サイドキックと言葉を交わしながら辿り着いた演習場に彼女は「流石、No.10ヒーローですね。演習場の規模が雄英のそれと変わないです」と楽しげに笑っていた。
事務所で待機の任に就いていたサイドキック達は演習場に姿を現した彼女の姿に「シャチョー！候補生って女の子じゃないですかー！」と驚きを隠せない様子で、それもその筈。ギャングオルカの事務所に職場体験に訪れるヒーロー候補生は全て男ばかりだったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - 一寸先はダークさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!凄いだなんてとんでもないです (汗)はい！頑張ります！今後ともよろしくお願い致します！！有難う御座いました！ (2020年3月24日 13時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
一寸先はダーク - 何か、凄いですね！個性が何か分からんなぁ、何となく推測はして多分こうじゃないかな？みたいな所まではいったんですけど、まだまだ分かりませんね！これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 94fd455da1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2020年3月17日 8時
